コロナ後の日本「東京一極集中」が抱えるリスク

個による自助、民による分散、公による備えを

克服策はあるのだろうか(写真:J6HQL/PIXTA)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
コロナウイルス危機で先が見えない霧の中にいる今、独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

東日本大震災(3.11)発生当時、私は、自衛隊の部隊運用を束ねる防衛省統合幕僚監部において、アメリカ軍が行うトモダチ作戦の日米間の調整役を担っていた。福島原発事故を含む3.11は、日本にとって「戦後最大の危機」であるとそのとき直感した。

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それから9年の時を経て、今般の新型コロナウイルス禍である。このパンデミックは全世界の人々の日常生活にまで変化を強要し、3.11をもしのぐ甚大なインパクトを与えている。

世界に目を向ければ、ニューヨーク、パリ、ロンドンなどの大都市で都市機能がマヒし、大都市の持つ脆弱性を改めて浮き彫りにした。ここでは、首都圏の防衛警備や災害派遣を担任した元東部方面総監(関東甲信越静岡の1都10県の防衛警備・災害派遣等を担任する陸上自衛隊東部方面隊の指揮官)として、自らの経験を踏まえてパンデミック後に浮かび上がりつつある東京一極集中に潜む真のリスクとその克服策を考察する。

東京のリスク:地震、洪水、火山、パンデミック

総監の職にあった2013年夏からの2年間、東部方面管内では伊豆大島土砂災害、関東甲信越一円の豪雪、御嶽山噴火など災害が多発し、延べ10万人を超える隊員を災害派遣に動員した。災害派遣期間中も平素においても、つねに脳裏にあったのは、前触れもなく襲う首都直下地震であった。

首都圏を上空から見れば、その特性は一目瞭然である。新宿、池袋、六本木などにそびえる高層ビル群、入り組んだ狭い道路に密集する住宅地、そして、江戸川、荒川、隅田川沿いに広がる海抜ゼロメートル地帯と河川によって分断されている地形、救援に赴くには極めて困難な密集市街地が延々と続いている。

かつて、日本人にとって怖いものは「地震、雷、火事、オヤジ」であったが、それは死語になった。しかし、東京にとって怖いものは「地震、洪水、火山」であり続け、さらに新たにパンデミックが加わった。

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