コロナ後の日本「東京一極集中」が抱えるリスク 個による自助、民による分散、公による備えを

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今般のパンデミックは人口稠密(ちゅうみつ)な都心部に新たな難題を突きつけている。感染予防の有効な手段として、人との間隔を2メートル取ることが望ましいとされた。都心部のある区の人口と面積を調べてみると1人当たりの面積が49平方メートル程度となる。半径4メートルに1人の割合である。エリアによっては住民が全員避難所に集まり始めると、人との間隔を2メートル取ることはできなくなる。パンデミックと地震、洪水などの災害が同時複合的に生起すると、住民避難のあり方も抜本的に見直す必要が出てくる。

首都圏に集中するデータセンター

API地経学研究所長の村井純慶應義塾大学教授は、サーバーやデータ通信などの装置を設置・運営しているデータセンターが東京などに集中している点に警鐘を鳴らす。データセンターは各種災害に備えて地震や火災、停電に強い構造となってはいる。

しかしながら、停電が長期化したり火災が広域化したりすると、運営の継続は難しくなる。加えて、パンデミックを考慮した在宅勤務、テレビ会議が定着しつつある中でデータセンターの重要性は増しつつある。データが集中する東京の比重が高まれば高まるほど、東京が被災した際にデータが使用できなくなるリスクが深刻になる。

東京はパンデミック後においても、政治、経済、文化等の中心として、内外からの訪問者を魅了する大都会に戻っていくであろう。しかし、一方で多くのいびつが蓄積され、解消されないままでは、ひとたび大災害が首都圏を襲ったならば、政治経済中枢としての機能がマヒするおそれがある。東京のリスクは言うまでもなく日本のリスクでもある。

細谷雄一慶応義塾大学教授は、著書『軍事と政治 日本の選択』の中で「危機を直視して、国民の安全を確保するために、はたしてどのような措置を執ることが望ましいのか、そして自衛隊がどのような活動を行うことが必要なのかについて、十分な議論が深まってこなかった」と指摘し、国民が自らの問題として安全保障などに関心を寄せる必要性を訴えている。それを考えるトリガーとして、そして真のリスクを克服するために次の3点を指摘したい。

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