「イタズラする犬」のストレス耐性を育てる技術 「小さな経験」を積み重ねることが重要

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マテを覚えるのも、散歩中に人に飛びつかずに歩くのも、多少の我慢が必要です。決められた場所で排泄できるようになるためにも、はじめは不適切な場所で排泄しないという我慢が必要になります。

やがて我慢を我慢だと思わずに当たり前にできるようになっていけば、問題は起こらないのですが、それができないといろいろな問題行動が起こります。

適切な行動を教えず一方的に叱ってしまう飼い主は、必然的にかまれることも多くなります。犬は嫌なことがあると、嫌なことを避けようと行動します。回避のための行動は攻撃に発展しやすいため、ある刺激が嫌ではないことを辛抱強く犬に教えるという飼い主の我慢力も、攻撃を防ぐためには必要不可欠です。

「我慢力」をどう高めていく?

我慢力は、少し先の利益を予測し、現在の衝動を抑える能力といえます。この少し先の利益を予測している脳の部位と、現在の衝動を生じさせる脳の部位は異なっています。

脳の各部位は複雑に関係しており、一部の部位だけが我慢や衝動に関わっているとは一概には言えないのですが、少し先の利益の予測を担っている脳の部位は、主に大脳にある前頭連合野という部分です。大脳の前方といえばわかりやすいでしょうか。いわゆる理性を司る部位です。

そして衝動を生じさせている脳の部位は、主に情動を司る大脳辺縁系です。大脳辺縁系には恐怖の中枢である扁桃体や、ストレス反応にも大きく関わる海馬も含まれます。

前頭連合野は計画を立てたり、計画に基づいて順序よく行動したり、適切な判断をしたり、状況を判断して、ある行動をしないことを選択したりする機能をもっており、我慢の脳と呼ばれることがあります。

とくに人で発達しており、大脳全体の29%を占めます。犬では7%と人に比べれば小さいですが、しっかりと我慢の脳をもっています。

また、前頭連合野は大脳辺縁系とつながっており、大脳辺縁系が恐怖やストレス、食欲や性欲などの衝動を感じた時にも、その場の状況と調和させるために、それらの衝動を緩和させる機能をもっています。

前頭連合野があるからこそ、人も犬も自分の欲求だけ押し通すのではなく、他者との調和を保ち社会を形成できるといえます。

次ページマテは練習すれば練習するほど上達
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