「イタズラする犬」のストレス耐性を育てる技術 「小さな経験」を積み重ねることが重要
人と犬がうまく生活していくためには
犬との関係に罰を用いることについて質問を受けることがあります。罰とは、ある行動を減らすことを目的に用いられる嫌悪刺激(=不快な刺激)のことを指します。
体罰はダメ、褒めるしつけが大切という概念から、なるべく犬にストレスをかけない、なるべく犬に不快を与えないようにしたいと考えている飼い主さんも少なくないでしょう。
もちろん、不必要なストレスをわざわざ与える必要はどこにもありません。ただ、犬が人間社会で暮らしていく以上、人と犬の利害の衝突は必ず起こってきます。
犬に優しい方法が尊重される昨今ですが、犬と人の利害の調節をする際には、犬にまったく負担をかけない方法はありえず、人と犬の適度な負担感のバランスを考える必要があります。
たとえば、コンセントのプラグを執拗に狙う犬がいたとします。プラグを隠せば良いかもしれませんが、家の構造上難しいかもしれない。直すことはできず、引っ越しをするしかないとします。
そうなると、プラグをかじれば感電しますから、犬をサークルに入れて生活するようになるでしょう。そうすると一生サークルから出られない状況になります。
それでは良くないとサークルから出せば、すぐさまプラグにかみつくことの繰り返しになります。この状況で、人と犬がうまく生活していくためには、犬にプラグをかじらないように教える必要があります。
この時、プラグをかじろうとした犬に、毎回「ダメ!」と声をかけたり、リードで制止したら、犬は「プラグをかじろうとしても、毎回止められるから、かじるのを止めよう」と考えるようになります。
その過程では、犬はかじりたいプラグをかじれないことに対して、あるいは、「ダメ!」という声かけや、リードでの拘束に対して、不快を感じることでしょう。つまりは、個体によって程度の差こそあれ、ストレスにさらされることになります。
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