本能寺は「織田信長の定宿」は大きな誤解である 本能寺の変にはなぜこんなにも誤謬が多いのか

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「本能寺の変」に関する多くのウソが、なぜか真実として現在に伝えられているというが……(写真:naonao/PIXTA)
大河ドラマ「麒麟がくる」もいよいよ大詰めを迎え、「本能寺の変」が話題である。光秀決起の真因は何だったのか? 本当の黒幕は誰か? さまざまな立場からの研究書が出版されてきたが、その中で異彩を放つのが、茶道研究家の視点で明智光秀の行動を子細に分析してきた井上慶雪氏である。『本能寺の変 信長の誤算』の著書もある井上氏によれば、本能寺の変に関する多くのウソが、なぜか真実として現在に伝えられているらしい。

間違いだらけの本能寺の変

歴史は時代とともにその見方、解釈も変わってくるものである。それなのに旧態依然とした歴史事象を、伝承どおりの固定観念で捉えていとも簡単に鵜呑みにしている人が多い。「聖徳太子・非実在説」などはその好例といえよう。

また、「誰かによる書き換え」を厳しく監査することも重要である。

歴史では、しばしば「誰かによる書き換え」が横行する。そして、やがてそれが通史として正当化し、安易に居直ることがある。

「本能寺の変」も430年以上、驚くほどの誤謬と、安易な伝承にだまされてきた歴史事象だけに、実証史学の厳しいメスを入れて再構築していかねばならないのである。

私は明智光秀の研究家として、著作を通して「世の中に出回っている本能寺の変に関する情報は間違いだらけである」「本能寺の変の犯人は羽柴秀吉であって明智光秀は冤罪である」という2点を、声を大にして申し上げてきた。拙著『本能寺の変 信長の誤算』は、これら主張に関する集大成といえる。

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