歴史から読み解く「コロナショック」経済の行方

酷似「スペイン風邪」後の経済と株価を考察

約1世紀前に猛威を振るったスペイン風邪の教訓から何を得られるだろうか。撮影地:アメリカ・ワシントン(写真:GRANGER/時事通信)  
株式市場の世界的な大暴落、東京オリンピックの延期、著名人の感染・死亡と、当初の想定を超えた「最悪の事態」を塗り替え続けているコロナショック。人的被害はもちろん、経済的被害も底が見えない状況になっている。
ちょうど1世紀前にも、約2年間にわたり「スペイン風邪」が世界で猛威を振るった。われわれはその歴史から何を学べるのか――。『お金は「歴史」で儲けなさい』などの著作があり、テレビ朝日系「モーニングショー」にも出演する経済評論家の加谷珪一氏が、コロナショックとスペイン風邪を比較しながら世界と日本の経済の今後について解説する。

コロナウイルスによる感染が深刻な状況となっている。これだけ広範囲に感染が拡大し、経済活動が抑制されるというのは、戦後社会としては初めての経験であり、先の状況を予測することは極めて難しい。このようなときは一度、冷静になって歴史を振り返って見るという姿勢も必要だろう。

近代以降、大規模な感染によって全世界で死者が出たケースとしては、1918年から1920年にかけて大流行したスペイン風邪がよく知られている。本稿では、スペイン風邪の感染拡大とGDP(国内総生産)や株価の推移などについて考察していく。

筆者はかつて、過去130年の経済や株価の推移について分析した『お金は「歴史」で儲けなさい』という書籍を執筆しているが、こうした歴史分析を行うと、必ずと言っていいほど「当時と今を比較しても意味がない」「状況が違いすぎる」といった批判の声が出てくる。

過去と現在で状況が異なるのは当然のことであり、もし歴史をさかのぼることについて無意味であると考えるのなら、時間の無駄になるので、本稿を読んでいただく必要はまったくない。

しかしながら、著名な投資家や実業家の中には、歴史的な分析を実践している人が少なくない。経済というものが人間の活動の集大成である以上、同じようなことを繰り返す可能性は高く、歴史を知ることは人間を知ることにつながるからである。こうした歴史が持つ価値について理解のある方のみ、読み進めていただければと思う。

スペイン風邪が流行した当時はバブル経済の真っ最中

スペイン風邪は、1918年から1920年にかけて全世界で流行したインフルエンザである。当時、日本の内政を担当していた内務省の調査によると、国内では3回のピークがあり、第1回目のピーク(1918年8月~1919年7月)には患者数が2100万人以上、死亡者は26万人に達したとされる。

2回目のピーク(1919年8月~1920年7月)は患者数が約241万人と大幅に減り、死亡者数も12万8000人と半減した。さらに3回目のピーク(1920年8月~1921年7月)になると、患者数は22万4000人、死亡者数は3700人となり、その後、感染は終息した。諸外国もほぼ同じで、1918年の秋に大流行となり、1919年に再度、拡大したのち終息を迎えている。

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