「世界大恐慌」今だからこそ響く忌まわしい歴史 コロナショックの先に1930年代の再来はあるか

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アメリカ・ニューヨークのタイムズスクエア周辺からは人がほとんどいなくなった(写真:REUTERS/Jeenah Moon)

新型コロナウイルスの感染拡大は、イタリア、フランス、ドイツ、アメリカといった先進国に飛び火し、各国の経済活動を大きく制限している。実体経済も金融市場も混乱を来し、リーマンショックを上回る経済危機になりそうなことがはっきりしてきた。ドナルド・トランプアメリカ大統領は、「ある意味で戦時の大統領になった」と宣言し、朝鮮戦争時に制定した「国防生産法」の適用にまで踏み込んできた。

現実に、アメリカ金融大手のゴールドマン・サックスは、2020年4~6月期のアメリカのGDP成長率の見通しを、従来のマイナス5%からマイナス24%へと下方修正した。四半期単位のマイナス24%は過去最大だと報道されている。また、セントルイス地区連銀のブラード総裁は、GDPが4~6月期にはマイナス50%、失業率も30%に達すると発言している。

もう「不況になる」「ならない」の問題ではない。

そもそも経済危機というのは、いくつかの段階がある。簡単におさらいしておこう。

・景気後退(Recession)……第2四半期連続でのGDP成長率がマイナス
・不況(Depression)……年10%前後のマイナス成長、あるいは3年以上のマイナス成長
・恐慌(CrisisまたはPanic)……不況の状況に金融危機が伴い、金融機関の貸し渋りと貸し剥がしなど「信用収縮」「信用崩壊」が伴う
・大恐慌(The great depression)……壊滅的な経済危機。金融システム崩壊、企業倒産が相次ぎ、失業者が街にあふれる。通貨の暴落、ハイパーインフレが訪れる

恐慌まで行くか、それとも大恐慌になるか

今の状況からすると、不況は避けられない。ここ数カ月の間に画期的な治療薬が発明される、あるいはワクチンができれば別だが、恐慌まで行くか、それとも大恐慌になってしまうかの瀬戸際と言っていい。

リーマンショックは「100年に1度の経済危機」として、1929年の世界大恐慌に匹敵する大恐慌になるのではないかと懸念された。幸い、アメリカの中央銀行に当たるFRBのバーナンキ議長が恐慌の専門家だったため適切な対応ができたことはよく知られている。

加えて、G7やG20といった世界の首脳が意思をひとつにして財政政策を実施。本来であれば、大恐慌級の経済危機が襲うはずだったのが救われたわけだ。

しかし、リーマンショックからわずか10年で襲ってきた今回のパンデミックでは、貿易や観光など経済のグローバル化が急激に進むなど、世界の環境は大きく変化している。大恐慌に至ってしまう可能性も否定できない。

世界恐慌や大恐慌になると、どんなことが起こるのか……。経験したことのない経済危機の入り口に立っているわれわれが今、学べるとすれば過去の歴史しかない。

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