「世界大恐慌」今だからこそ響く忌まわしい歴史

コロナショックの先に1930年代の再来はあるか

<失業率>アメリカでは25%、1200万人の失業者が街にあふれた

1930年代の大恐慌では、アメリカの失業率は25%(1933年)に達し、1200万人の失業者が街にあふれたと言われる。単純に言えば労働者の4人に1人が失業しているわけだ。当時のアメリカの人口は、だいたい1億2600万人というから現在の日本と同程度の人口規模だ。

日本の労働者数は、就業者数6687万人(2020年1月、労働力調査より、以下同)、雇用者数6017万人、完全失業者数は159万人。単純に失業率が25%になれば、日本の完全失業者数は1671万人となる。大恐慌になれば、街は失業者であふれると考えていい。

アメリカは、当時400万人の雇用を創設したニューディール政策によって、10世帯に1世帯を救ったとされている。日本政府に1671万人を救う力はあるだろうか。

一方、大恐慌下の労働者を取り巻く環境では、フルタイム就業者がどんどん首を切られて、最終的にはパートタイムの労働者だけになってしまうという現象も起きた。前述の『世界大恐慌――1929年に何がおこったか』によると、当時の鉄鋼会社「USスティール」のフルタイム就業者の数は次のように激減していく。

・1929年……22万4980人
・1930年……21万1055人
・1931年……5万3619人
・1932年……1万8938人
・1933年……0人

22万人を超えたフルタイム就業者数が、株価暴落から4年でゼロになってしまう様子がわかる。大恐慌を超える可能性のある今回の経済危機では、これと同じようなことが起こるかもしれない。現実に、アメリカでは当時の花形の職種だった紡績工の7人に3人が失職し、自動車業界の従業員も4分の1に削減されている。例えばデトロイトの「フォード」では、1929年3月には12万8000人いた従業員が、1930年9月には3万7000人に減少している。

<賃金>平均賃金は3割超の減少に

恐慌では賃金の落ち込みも深刻になる。大恐慌時代のアメリカの「週平均賃金」の落ち込みは大きく、1923~1925年を100とした「週賃金」は次のように落ちていく(前述『世界大恐慌――1929年に何がおこったか』より、( )内は生計費の平均値)。

・1929年……104.2(99.5)
・1930年……96.8(96.9)
・1931年……86.8(88.2)
・1932年……70.4(79.2)
・1933年……68.3(75.0)
・1934年……75.3(77.7)

業種ごとにバラツキも

仮に、仕事があっても、賃金が104だった平均賃金は、1933年には68まで、最大3割を超える規模で下落していく。賃金俸給を合わせた労働者の貨幣収入の総額は、最大で42.5%下落したというデータも残っている。

ちなみに、業種別では建設業が75.4%もの減少となった。ルーズベルト大統領になってニューディール政策がスタートしてから、やっと建設業界にも仕事が入ったと言われる。

業種別では、ほぼ半減してしまったのは鉄鋼、非鉄金属、自動車、機械、木材などの重工業関連、鉱業、農林業、輸送関連。減少幅が小さかったのは政府、公益機関、金融保険、軽工業などと指摘されている。公務員はやはり安泰だということだ。

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