「世界大恐慌」今だからこそ響く忌まわしい歴史 コロナショックの先に1930年代の再来はあるか

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資本主義社会ではもともと「恐慌」は避けられないものともいえる。世界の恐慌の歴史を振り返ってみると、1929年の大恐慌だけではなくそれこそ10年に1度程度の割合で恐慌が起きている。

実際に、金融危機だけを見ても1929年の大恐慌以後もたびたび起きている。ニクソンショック(1971年)、ブラックマンデー(1987年)、アジア通貨危機(1997年)、ITバブル崩壊(2001年)、リーマンショック(2008年)という具合だ。

大恐慌以前も、オランダ黄金時代のチューリップ恐慌(1637年)、世界的な規模の恐慌の第1号と言われる「1857年恐慌」といったものが有名だ。1857年恐慌は、アメリカの銀行が必要としていた金を積んだ船がハリケーンで沈んだことがきっかけとなって、南北戦争終了まで影響が残ったとされる。

1929年の大恐慌も、結果的に第2次世界大戦が終結するまで景気が回復しなかったことから、第2次世界大戦の原因になったと言われている。

破綻は個人から企業、そして国家へと連鎖?

中世のコレラやペストといったパンデミックは、欧州という具合に特定の地域で発生し、タイムラグもあった。世界はまだグローバル化されていなかったからだ。しかし、今回の新型コロナウイルスの感染爆発では、世界中でほぼ同時に感染が拡大している。

おそらく、世界経済の落ち込みも世界同時になるはずだ。問題は何が起こるかだが、予想されるリスクを発生順に列記すると次のようになる。

・欧州債務危機の再発(国家の破綻)
・新興国通貨の暴落、債務危機(〃)
・過剰流動性の副作用で「デフォルト」が大量発生(企業や国家が続々と破綻)
・世界的な金融インフラの崩壊(銀行の連鎖倒産、取り付け騒ぎなど)
・急激な保護貿易で世界は縮小経済へ
・世界同時ハイパーインフレ

世界同時ハイパーインフレとは、貨幣という概念の崩壊だ。貨幣に対する信用度が喪失し、あらゆる商品やサービスの価格が上昇してしまう現象である。18世紀のフランス革命直後のハイパーインフレをはじめとして、19世紀の南北戦争直後のアメリカ、20世紀に入ってからも第一次世界大戦直後のドイツ、帝政が終了した直後のロシア、第2次世界大戦直後の日本などなど、歴史的に大きなイベントの結末にハイパーインフレが襲っている。

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すでにあちこちで流動性不安ともいえる事態が伝わってきているが、アメリカでの通貨不安や債券市場での流動性不安が高まれば世界にも及ぶことになる。

有事に強いはずの金までもが投げ売り状態となっているのはリーマンショックと同じだが、ここからさらに金融不安がおこれば、世界各地で信用不安が発生し、その現象は世界中に感染し、連鎖しかねない。金融不安の“クラスター”が世界中で同時発生してくる可能性があるということだ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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