立命館の文化人類学者「研究は何でもOK」の驚異 アフリカでは古着商にもなる大胆な調査を実践

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タンザニアなどで現地の人々と生活しながら研究を続ける小川さやか氏(写真:末澤寧史)
文化人類学者で立命館大学大学院教授の小川さやか氏は、2019年に発表した『チョンキンマンションのボスは知っている−アングラ経済の人類学』で、河合隼雄学芸賞と大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞しました。その内容は、香港に住むタンザニア人の中古車ブローカーたちがスマートフォンやSNSを駆使し、独自のシェアエコノミー圏を築いているというもの。小川氏はその土地の人々と暮らしながら調査をする「フィールドワーク」を得意としており、その成果が出ました。
斬新な研究や地道な研究を積み重ねる人々を紹介する「ニッポンのすごい研究者」。今回は小川氏のフィールドワーク術に迫った。

アフリカ・タンザニアの零細商人を研究

――文化人類学といえば、辺境の狩猟採集民や牧畜民を研究するイメージがあります。これに対し、小川先生の研究はタンザニアの「都市部」を対象にしています。しかも、零細商人。なぜ、そこに着目を?

(村社会などの)安定的なコミュニティーや濃密な人間関係はもともとあまり得意じゃなくて、わいわいガヤガヤした市場や路上が好きなんですね。「働く」「交換する」「贈与する」といった、経済人類学の領域にも昔から興味がありました。

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京都大学大学院時代の指導教員が社会経済学者で、タンザニアの農村経済を研究していたんです。だから「(タンザニアの)農村に行け」とずっと言われていたのですが、言うことを聞かずに都市をフィールドにしたんです。

当時はダウ船(アラビア商人が使っていた大型の木造帆船)に乗りたい、キャラバン交易をしたい、ニジェール川を下りたいとか、そんな無謀なことを言っては却下され……。

なんとか指導教員を説得できたテーマが「零細製造業者の徒弟制度」でした。親分子分みたいな関係性の研究も面白いかな、と。指導教員も「このテーマだったらいい」と言ってくれました。

まず、タンザニアに行って、家具職人に弟子入りしたんですね。だけど、ほんの数週間でフィールドを変えちゃいました。零細商人のほうが断然面白かった。指導教員には「零細商人はこのウソで(相手を)騙すことが、こんな意味を持っていて」などと一生懸命説明しました。楽しそうに研究していることは伝わったようで、厳しくも温かく見守ってもらいました。

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