人間と同じ?「働きアリは早死にする」衝撃事実

アリの社会でも経済学の理論が見出せる

アリと人間は社会を構成するという点で共通する(写真:ヨコケン/PIXTA)
虫眼鏡で小さなアリを覗いてみると、そこでは人間社会と同じことが繰り広げられていた――。30年以上、アリの生態や行動を研究してきた琉球大学農学部の辻和希(つじ・かずき)教授の研究はそんな意外なことを教えてくれる。辻氏は「最も基礎的な研究が最も応用に役立つ」を信念として、アリを観察し続けてきた。その目に、私たちが織りなす人間社会はどう映っているのか。
夢の実現や社会の改革に向けて地道な努力を重ねる研究者たちを紹介する「ニッポンのすごい研究者」。第3回のテーマは「アリと人間」について聞く。

アリも協力したり、反発したりする

――研究のきっかけは何だったのでしょうか。

子どものころから昆虫が好きでした。春休み、夏休み、冬休み。そういう中で「スキーができるから私は冬休みが好き」という子どももたくさんいたと思うんですけど、私は断然、昆虫でした。昆虫がたくさんいる夏休みが好きでしてね。夏休みに家族で旅行に行くと、私だけ放っておかれて、ずっと昆虫採集している。そういう生活を送っていました。

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普通の虫好きの子どもと同じようにチョウチョやトンボ、カブトムシを追いかけ回していたんですが、母が言うには、物心つくかつかないかの1歳ぐらいのときに、よく軒先でアリの行列をじっと眺めていたらしい。

本格的にアリを研究対象にするのは修士課程に入ってからなんです。でも、本当は1歳のときからすでに魅せられていたのかもしれません。アリを研究対象に選んだのは、実はそこまで深い熱意があったからではないんです。指導教官の勧めでした。「女王アリがいないアリがいるらしい。面白いから、その生態を研究してみたら」と。

それで、アミメアリ(東南アジアから東アジアに広く生息する小型のアリ)を研究対象に選びました。いざ研究を始めてみると、その面白さにのめり込んでしまって……。

アリと人間は当然違いますけど、社会を構成するという点は共通しています。人と人の間で集団の力学が働くのと同じように、アリも協力したり、反発し合ったりと集団の力学が働いている。それが研究でわかるんです。

生物が集団でいるとどういうことが起こるのか。それを知ることができる点に引き込まれました。

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