山本雅人教授は北大大学院で「情報理工学部門・複合情報工学分野」に所属し、「自律系工学研究室」を設けている。
といっても、わかりにくいかもしれない。AIの技術をカーリングの戦略に適用する研究や技術開発を続けていると聞けば、親しみも湧くのではないか。
山本氏は2020年春、アメリカの人工知能学会に参加し、「スポーツとテクノロジーの融合には、世界のあらゆる選手、チームが手をつけ始めている。技術の導入に躊躇する選手やチームは取り残されていく」と感じたという。
カーリングは後攻が圧倒的に有利
まずは、その山本氏から出題された以下の問題を見てみよう。
カーリングは、4人1組のチームが先攻後攻に分かれ、1エンドにそれぞれのチームが1人ずつ交互にそれぞれ2投、計16のストーンを投げ合う。
最終的に直径約3.66メートルのハウス(円)の中心に最も近いところにストーンを残したチームが、相手より内側にあるストーンの数だけ得点を総取りする。先攻は、最初のエンドはDSC(ドローショットコンテスト)で決める。2エンドからは前のエンドで得点したチームが先攻となる。
カーリングは、後攻が圧倒的に有利なゲームでもある。ストーンを狙い通りに投げるショットの正確性とともに、点差や残りのエンド数を考慮しながら、後攻を取るためににあえて得点を放棄したり、ギャンブル・ショットでスチール(先攻が得点すること)を狙ったりする。戦略が非常に重要で、「氷上のチェス」と言われる理由だ。
上の問題では、日本の勝率はどのくらいだと考えられるだろうか。残り2エンドながら点差はわずかに1点。第9エンドは日本の先攻だ。パッと見では「接戦」とも表現したくなる展開だろう。では、答えは?
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