「カーリング界の大転換」に挑む北大AIの先導者 テクノロジーを導入しないスポーツは衰退する

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最善手の選択には、先に紹介した「勝率テーブル」も利用する。トップ選手だからこそ可能になるショットを前提として、最善手を選択していく。初級、中級者に最適化することも可能で、レベルに合わせた戦略立案が可能になるという。

現行のルール上、試合中に「じりつくん」を使うことはできない。自身もカーリング・プレイヤーである山本氏は言う。

「試合後の振り返りで、戦略をめぐってケンカになることもありますよ。それはどのチームも経験していることでしょう。

問題は違う戦略があったかどうか。あったとしたら、実際に選択した手と比べて優劣やリスクはどれくらいだったか。そうした戦略・戦術が、データやAIに基づけば、議論も進むし、新たな発見もある。戦略に対する考え方が変わってくる。そう考えています」

北見市のカーリングホールに導入

北海道北見市ではこの10月、通年営業のカーリングホール「アルゴグラフィックス北見カーリングホール」がオープンした。最新鋭のカメラや各種計測機器に加え、「じりつくん」も導入されている。

「冬季スポーツ科学研究推進センター」を擁する国立大学法人の北見工業大学が、選手やストーンの動き、ブラシで氷を擦るスイーピングやショットに関するデータを蓄積する。

そして山本氏らと連携し、AIや認知科学の知見を取り入れ、より効果的なトレーニング方法や戦術支援システムの開発を目指すという。

この壮大な計画を前に、山本氏はこう語った。

「データ分析、AIの利用はもちろんですが、トレーニングのフォームをセンシング技術や画像で分析し、重心がどれだけぶれているか、自分のストーンの曲がり方や特徴、動きの特徴を把握する。日頃のデータ分析がどれだけできているかが、本番でも効いてくることになると考えています」

取材:高木徹哉=フロントラインプレス(Frontline Press)所属

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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