GAFAで働く僕がかつて日系企業で学んだ"本質" 20代の頃の上司だったN本部長の凄すぎる視点

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「うーん。そりゃ、場合によりますね」

Nさん「そう、場合によるんだよ。だから、場合ごとに分けることが大事なんだよ。

まず、何のために野菜を作るんだろう? 『市場で販売するため』と『自分で食べるため』の2パターンがあると考えてみよう。

もし、野菜を『市場で販売するため』に作るなら、まずはマーケットのことを知らなければいけない。どれだけ手間暇かけずに楽ちんに作れる野菜でも、お客さんが誰もその野菜を望んでいなければ、何の価値もないからね。

いま、どの野菜を作ると、どれくらいの価格で売れるのか。年に1回より2回収穫できる野菜のほうが売り上げや利益が上がるのではないか。もちろん作りやすさとか、そういった観点も必要になってくるよね。そうしたことを考えた結果、どの野菜を作るべきかを考えないといけない。

一方で、もし『自分で食べるため』に作るなら、市場のことを考える必要はあまりないよね。自分が好きな味か、栄養があるか、少量でいいのか、量が取れる野菜がいいのか、主観的な要素で判断すればいい。結局『目的に沿ったものを作る』ということになるんだよ。目的によって行動が変わる。だから、何をするにも、まずしっかりと目的を決定しないといけないということだね」

皆、会議の途中で目的を見失う

Nさん「いま、野菜を作る話をしたけど」

「はい。『まずは目的を明確に決め、その目的に応じた野菜を作らないといけない』ということでしたよね」

Nさん「ところが、不思議とどんな会社でも、会議で皆でいろいろ話している間に、知らないうちに目的とは別のものを重んじてしまうケースが多々見受けられるんだよ」

「例えば、どんな感じですか?」

Nさん「野菜の例でいうと、『市場で売るために、どんな野菜を作るべきか』について会議をしてるときに、『やっぱり粗利が高い品種がいいよね』とか、『大量生産できる品種は?』とか、『原価が低い野菜は?』とか、『1年を通じて栽培できたほうがいいよね』みたいな話にフォーカスしていって、最終的に選んだものが、確かに粗利も高くて、大量生産もできて、原価も低くて、1年中栽培できるんだけど、全然マーケットで受け入れられなかった……。そんなことが往々にしてあるんだよ」

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