身体や心と向き合う「コロナ禍のライフシフト」

自己実現派だった私が「生活」を取り戻すまで

コロナ禍を期に、ニューヨーク北部の林の中にある小さな家で暮らすようになった文筆家・佐久間裕美子氏。新しい生活で得た気づきとは?(写真:著者提供)
20年にわたりアメリカ・ニューヨーク・ブルックリンで暮らし、『ピンヒールははかない』などの著書で知られる文筆家・佐久間裕美子氏の生活はコロナで激変した。「自分の人生のバランスが変わった」と述べる佐久間氏に、「ライフシフト」後の新しい生活で得た気づきを語っていただいた。

想像もできなかった「山の家」での生活

ニューヨークがロックダウンに入ってから、生活も、私自身の意識も大きく変わりました。今、生活しているのは、これまでは「山の家」と呼んでたまに訪れてきたニューヨーク北部の林の中にある小さな家です。ニューヨークでの仕事がほとんどなくなり、もともとメインで暮らしていたブルックリンに行くのは月に1度くらいになったので、それまで使っていた仕事場は引き払いました。はからずもコロナによって「ライフシフト」を実践中です。

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私は1998年からニューヨークに、2010年からはブルックリンに住み、ここ2、3年は日本と頻繁に行き来する生活を送ってきました。

「山の家」は、10年ほど前、都会にフルタイムで暮らす生活に疲れると感じるようになったタイミングで、縁あって友人から借りるようになって、週末や長期の執筆などの際に訪れるセカンドハウスとして使っていましたが、日本との行き来が増えて、来られるチャンスが少なくなり、ここ数年は「今年こそ、もっとここで時間を過ごそう!」と思いながら、なかなか実現しない日々を送っていました。

今年になって、コロナウイルスによる渡航規制が徐々に行われるようになったとき、ちょうど私は日本国内を旅していました。ニューヨークに戻る直前に、台湾とタイに行く予定だったのですが、若干、体調不良だったこともあり、キャンセルして3月初旬にニューヨークに戻ったんです。

戻ってみるとニューヨークはまだ比較的通常モードで、マスクをしている人は全然いないし、むしろアジア人がマスクをすると嫌がらせに遭うからやめたほうがいいと忠告されたりして、空気感のギャップに驚きました。けれども、少し休む予定でこの「山の家」に来て1週間経ったところで、次々と仕事がキャンセルになり、あれよあれよといううちにロックダウンが始まって……、結局そのままずっとここに住んでいます。

今の生活は、「そのうち時間ができたら、いつか」とぼんやり想像していたような生活です。まさかこんなに早くそのときが来るとは、想像もしていませんでした。これまで、毎日あっちこっちへと飛び回り、たくさんの人と会う生活から、急に人との接触がほとんどない生活になって、最初は大丈夫かなと不安にもなりましたが、やってみると自分でも驚きなことに、とくに不満もありません。むしろ、生活を立て直すチャンスを得たのだと思えるようになりました。

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