身体や心と向き合う「コロナ禍のライフシフト」 自己実現派だった私が「生活」を取り戻すまで

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今年の夏のアメリカは、市民運動が盛り上がりました。外に出て取材したいという気持ちもありましたが、私は何かあったときに最前線に駆け出していくジャーナリストではないし、パンデミックの最中、外に出る人はひとりでも少ないほうがいい。基本、取材はオンラインでしながら、春先から書いている本の執筆をしてきました。

新著『Weの市民革命』は、トランプ時代の始まりとともに活発化したデジタルの市民運動が、パンデミックによってどう変容し、どんな変革をもたらしているかをテーマにしています。BLM(Black Lives Matter)、労働運動、気候変動に対するアクションなど、多くの市民たちが、アクティビズムに従事していて、Twitter、Facebook、TikTokなど、あらゆるデジタルツールが使われています。

こうしたツールがあるから、パンデミックの最中、私も家にいながらにして、市民運動の最前線の取材を続けることができたし、多くの人たちが家をでなくても、 社会と密接に関わることができる、この状況はテクノロジーが進化したおかげでしょう。

でも、いつでも接続できるということが、これが諸刃の刃となって、オンとオフの切り替えができなくなったり、つねに仕事をしてしまっている、という状況にもなりかねません。在宅勤務が可能になって、勤務形態が柔軟になった一方で、はっと気がつけば、過労気味になっていたり、バーンアウトしたり、という人も多いのではないでしょうか? 自分自身も、精神や肉体のメンテナンスやセルフケアの重要性を実感しています。

コロナ禍で露呈した不平等と不均衡

コロナ禍がやってきて、アメリカでは、現代史上例をみないほどの勢いで労働運動が盛り上がりました。仕事に出かける、という行為にリスクが付帯するようになったからです。また、物理的な場所に紐付かない仕事をする人たちの労働には、ある程度の柔軟性がもたらされましたが、一方で、労働者と企業の力関係はまだ均衡とはいえません。サービス業界をのぞけば企業利益は堅調にもかかわらず、株主に配当金を払うために労働者をレイオフするような企業が跡を絶たない現実もあります。

コロナ禍は、社会のさまざまなレイヤーに存在する不平等を露呈しました。不景気になったときに、先にレイオフされるのは、人種マイノリティや女性である傾向が強く、また在宅勤務になって、家事や育児の負担が不均衡に女性にかかっているというデータもあります。

アメリカではいま、空前の不景気の長期化が心配されています。11月に入って、コロナウイルスの感染が、これまでの記録を塗り替えながら増加する中、感染者や死者もさることながら、失業者やホームレスの人口も増えています。

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