「ストレスを放置する人」が招く最低最悪の結末 いくら体が丈夫でも「異常行動」に走るケースも

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では、体も心も強い人にストレスの負荷がかかった場合、最終的にはどうなるのでしょうか? こういった人は、最後は行動に異常が出てきます。お酒を飲む、たばこを吸う、買い物中毒になる、暴力をふるう、ギャンブルにはまるなど、行動に変化があらわれるのです。

いずれにしても、ストレスの影響はどこかに出てくるものです。どのような症状が出るのかは人それぞれですが、自分の不調がどこに出やすいかという傾向を知っておくと、それをストレスアラームとして活用することができます。

「ああ、今ストレスがかかっているから、少し休もう」など、先手を打つことができるのです。

ストレスの放置は「命にかかわる」

問題はそういった体や心の変化に自分で気づかないこと。先ほどの失体感症の人のように、自分の体のアラームに気がつきにくい人の場合に特にそうなりやすいのですが、ストレス信号を放っておくと、ある日突然、心筋梗塞になる、うつになるなど、病気と直結してしまいます。

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自分の体の声に耳を傾け、自分の体を感じ取る力を上げる必要があります。そうした自分の気持ちや体の変化に鈍感な人は、血圧でも脈拍でも体重でもいいので、客観的な数値をチェックするようにする(家で毎朝血圧を測る、健康診断を受けるなど)のもおすすめです。

自分のことを健康にできるのは、自分しかいません。日頃から自分の心と体の状態に意識を向けることが、大病を小病に、あるいは未病にすることにつながるのです。

大平 哲也 福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授

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Tetsuya Ohira / Tetsuya Ohira

福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授。同放射線医学県民健康管理センター健康調査支援部門長。大阪大学大学院医学系研究科招へい教授。日本笑い学会理事。福島県いわき市生まれ。福島県立医科大学卒業。筑波大学大学院医学研究科博士課程修了。大阪府立成人病センター、ミネソタ大学疫学・社会健康医学部門研究員、大阪大学医学系研究科准教授などを経て現職。専門は疫学、公衆衛生学、予防医学、内科学、心身医学。

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