岩田健太郎「よく走る人ほど風邪ひきやすい訳」 「免疫力UP」の誘い文句は疑ったほうがいい

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なぜよく走る人ほど風邪を引きやすいのか? 「免疫力」の基本について岩田健太郎教授が解説(つむぎ/PIXTA)
なぜよく走る人ほど風邪をひきやすいのか? 日本人が知らない「免疫力の基本」について、2月に横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の内情を告発して注目を集めた、神戸大学感染症内科の岩田健太郎教授が解説。新書『新型コロナウイルスの真実』から一部抜粋・再構成してお届けする。

 巷では「〇〇を食べたら治った!」みたいな話が出回っているようですが、基本的に取るに足りません。今のところ、新型コロナウイルスに関して「これをやったら治る」とか「予防に効く」ような食品はありません。

何しろ、現在の段階では、堅牢な臨床試験で証明された治療薬が存在しないわけですから、「私はこれ飲んだら大丈夫だった」みたいな納豆とかヨーグルトとか、ホメオパシーのレメディみたいなやつも全部でたらめだと思っていい。

そもそも、一般論として「免疫力アップ」という言葉はだいたいインチキだと思っていいんです。

ステロイドとか免疫抑制剤のように、免疫力を「下げるもの」の候補は世の中にたくさんあります。あとで説明しますが、免疫力を下げる行動もたくさんあります。

そもそも「免疫力」とは何か?

でも、免疫力を総合的に上げる方法って、ないんです。それを理解してもらうために、「そもそも免疫力とは何なのか」についてお話ししましょう。

「免疫力」とは病原体に対抗する力、つまり生体防御反応の強さのことです。これは、強くなれば強くなるほどいいものではなく、むしろ害になります。

例えばアトピー性皮膚炎や喘息、花粉症、関節リウマチなどの症状は「自己免疫疾患」に分類されますが、これらは全部免疫力が高すぎるがゆえに起きた弊害です。

つまり、免疫力ってバランスなので、高すぎても低すぎてもダメなので、「免疫力アップ」を売り物にしている時点で、既に間違いです。

ぼくも学生の頃に、免疫細胞の機能に関する実験をしていましたけど、一般的に免疫力アップを謳う医者がいたら、その人はインチキだと決めつけてほぼ間違いないでしょう。

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