三井造船とキッコーマンを分析する アベノミクスによる円安で、恩恵はあったのか

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海外比率の高さが追い風となったキッコーマン

続いて、キッコーマンの平成26年3月期決算を分析します。この会社の財務内容はすばらしく、自己資本比率は60.3%と非常に高い水準です。

財務体質の良さには定評のあるキッコーマン。世界的な和食ブームに乗って、海外事業は驚異的な伸びに(撮影:今井康一)

また、キッコーマンはこの決算で、海外の売上高が国内を初めて上回ったというニュースがありました。同社は1957年という非常に早い時期から北米に進出し、現地で醤油ブランドとしての地位を築いてきたのです。

さらに近年、世界的な和食ブームが到来したことで醤油の需要が高まり、業績に強い追い風が吹きました。

損益計算書(12ページ)を見ますと、売上高は前々期である平成25年3月期と比べ14.3%増の3431億円と大幅に伸びています。ただ、地域別・事業別の内訳を見てみますと、国内食料品製造・販売の「外部顧客への売上高」は、前々期より4.5%増の1606億円、国内その他は1.1%減の80億円ですから、国内事業はそれほど伸びていません。一方、海外食料品製造・販売は26.4%増の560億円、海外食料品卸売は25.9%増の1183億円と、海外事業は驚異的な伸びを見せているのです。

セグメント利益(21ページ)では、その差がさらに開きました。国内は25.2%減の52億円である一方、海外は33.6%増の176億円。キッコーマンは、売上高という点でも、営業利益という点でも、国内より海外のほうが上回っているのです。

なぜ、ここまで海外事業が伸びたのでしょうか。先ほど分析した三井造船と同様、円安によって海外での売り上げの円換算額が増えたことが業績を押し上げたことがひとつ。さらに日本経済新聞の報道によりますと、世界的な和食ブームから、現地通貨のベースでも北米を中心に欧州やアジアでの売り上げが伸びたということですから、数量自体も伸びたと言えるでしょう。

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