三井造船とキッコーマンを分析する

アベノミクスによる円安で、恩恵はあったのか

 アベノミクスの恩恵を享受した業種がある一方で、あまり影響を受けなかった業種もあります。今回、取り上げる2社は、アベノミクス関連としてはあまり注目されてこなかった企業です。
 ひとつ目は三井造船。船は完成まで時間がかかることから、造船業は景気の波より数年少し遅れて業績が動きます。ですから、今のところはアベノミクスの影響はあまり受けていないと考えられます。
 ふたつ目はキッコーマン。主力商品である醤油は、好景気になっても需要はそれほど変わりません。また、同社は海外で稼ぐ割合が高いことからも、アベノミクスの恩恵はそれほどなかったのではないかと思われるのです。実際の業績はどうなったのでしょうか。

売上高は大幅に増えたが、営業減益となった三井造船

三井造船の平成26年3月期(2013年4月~2014年3月)の決算から見ていきましょう。

昨年夏、2017年3月までの中期経営計画を発表した三井造船。経営課題にスピード感をもって対応するという方針のもと、通常より9か月前倒しで発表した(撮影:大澤 誠)

まずは損益計算書(11ページ)を開きますと、売上高は前の期より大幅に伸び、16.1%増の6700億円となりました。

ところが、売上原価が売上高以上に増えてしまったため、売上総利益は4.3%減少して1382億円。さらに販売費及び一般管理費(販管費)が微増し、営業利益は16.8%減の199億円となりました。売上総利益が減っていますから、営業利益の落ち込みは売上原価の増加が大きいと言えます。

原因は何でしょうか。決算短信の説明によると、受注高は前の期より67.1%も増えたのですが、船の需給が緩んで価格が下落し、採算が悪化したということです。

船の運賃は世界経済に影響されて大きく変動しますが、実は船の値段も、新造船、中古船を含めて、市況商品のように比較的大きな値動きがあるのです。このほか、物価上昇による原材料費の高騰や、景気回復に伴う人件費の上昇も、利益を押し下げる要因になったと思われます。

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