キッコーマン、「量より価値」追う 「しぼりたて生しょうゆ」の立役者、堀切・新社長に聞く

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キッコーマン。日本のしょうゆメーカーとして最大手の存在だが、実は、売り上げの半分弱、営業利益の7割弱を北米・欧州など海外で稼ぐ「グローバル食品企業」である。中でも北米には戦後間もない頃から進出し、今では「kikkoman」ブランドは現地で不動の地位を確立している。
一方、日本国内の食品市場の環境は、厳しさを増している。「同じものなら少しでも安く買いたい」という消費者の節約志向が根強いうえ、少子高齢化で日本の“胃袋”そのものが小さくなっているためだ。グループで国内シェア3割を握るキッコーマンも、主力のしょうゆの売り上げは漸減傾向にある。
そのキッコーマンの社長が6月に交代した。新トップに就いたのは創業家出身の堀切功章氏。海外での経験が長く、08年の就任以降、リーマンショックや欧州危機などを乗り越え、海外の収益力向上に貢献した前社長の染谷光男氏(現・相談役)の後を継いだ。
堀切氏はこれまで国内事業に長く携わり、和風調味料「うちのごはん」や「しぼりたて生しょうゆ」などのヒット商品を育成してきた“国内のプロ”。海外はもちろん、国内の成長戦略を期待されての就任となった。「国内市場はまだまだ活性化できる」と語る堀切社長に、これからの日本の食品市場でヒットを生み出すために求められる条件を聞いた。

「しょうゆの革命」を起こした

――頭打ちと言われる国内のしょうゆ市場で、キッコーマンは2010年に新商品「しぼりたて生しょうゆ」を投入し、ヒットしました。

私が言うのもなんですけど、これはしょうゆの革命です。これまで密封容器入りのしょうゆというものはなく、栓を開ければすぐに劣化が始まるのが普通でした。昔は1リットル入りのペットボトルを1~2カ月で使い切っていたのでよかったのですが、今では世帯人数が減ったり、食のスタイルが変わって煮物を作る回数が減ったりして、栓を開けてから使い切るまでの時間が長くなってしまいました。

ヒット商品となった「しぼりたて生しょうゆ」

「いつでも新鮮~」は、密閉容器に入れたことで、かなり長期間にわたって品質保持ができ、火入れをしていない生のしょうゆの香りが楽しめます。ただそれ以上に、1滴単位で出る、倒してもこぼれないなど、現在の容器の使い勝手の良さが評価されているようですね。国内のしょうゆ売上高のうち、この新商品が占める割合は現在5%(22億円)。今年度は8%(35億円)まで伸ばす計画です。

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