キッコーマン、「量より価値」追う 「しぼりたて生しょうゆ」の立役者、堀切・新社長に聞く

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――国内では、食品の低価格志向が続いていると指摘されています。

でも、マクドナルドの1000円ハンバーガーは売り切れてしまいましたよね。コンビニでは100円でコーヒーが飲めますが、(それより高い)スターバックスは繁盛しています。重要なのは、単なる値段の高い・低いではなくて、そこにどんな価値があるかということ。何を食べるかだけではなく、「誰と食べるか」「どこで食べるか」という付帯条件が加わって、一つの「食べる」という価値が生まれるわけです。動物のえさではないのですから。

キッコーマンのしょうゆだって、「いつでも新鮮」シリーズは200ミリリットルでも、従来のこいくちしょうゆ1リットルと同じ200円前後の価格(実勢価格)で売れます。お客様が、それに価値を認めてくださるからです。「しょうゆの値上げはしないのか」とよく聞かれますが、私は値段ではなく価値を上げることを目指したい。

最近では、ユニクロのステテコの話を聞きました。ステテコなんて過去の遺物で、おじいさんしか履かないものだった。それをユニクロがデザインして売ったら、若い人たちが喜んで履いている。そういうことは食品の世界でも、まだまだできると思います。知恵比べですね。

しょうゆ以外では高付加価値型PBありうる

――セブン&アイの「セブンゴールド」など、小売りのPB(プライベートブランド)でも、高価格の商品が出ています。

正しい方向性だと思います。「PBは安い」というイメージを、「PBだから良いもの」というイメージに変えることに挑戦している。メーカーのNB(ナショナルブランド)商品でも同じです。(従来と)同じものだったら、1円でも安いのがいいのは当たり前ですが、いいものだったら(消費者の)皆さんはおカネを出してくれるんです。何も、安く売ることばかりを頭に置かなくてもいい。

当社は、主力のしょうゆについてはPBではなく、NB中心に高付加価値商品を開発していきますが、しょうゆ以外のカテゴリーでは高付加価値型のPBを手がける可能性も十分に考えられます。

(撮影:今井 康一)

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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