エイチ・アイ・エスと、近ツーを分析する 円安なのに活況の旅行業、今後も好調は続く?

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 2012年末から急速に円安が進んだことを受け、私は「旅行業界は、円安で海外旅行客が減って、業績が悪化したのではないか」という仮説を持っていました。ところが実際は、主要旅行会社の旅行取扱額は昨年春以降、増え続けていたのです。
旅行業が好調である背景には、いくつかの理由があります。今回は、旅行業界全体の動向に加え、海外旅行大手のエイチ・アイ・エス(以下、HIS)と業界2位のKNT-CTホールディングス(以下KNT、通称は近畿日本ツーリスト)の財務内容を分析します。そのうえで、旅行業の先行きを見極めるポイントについて解説していきます。
JR東日本の「TOHOKU EMOTION」。列車全体がレストラン空間となる「東北レストラン鉄道」という、東北観光ツアーが好評(撮影:尾形文繁)

旅行取扱額は国内外とも好調、外国人観光客も増加

観光庁が主要旅行業者57社の旅行の取扱額を集計した「旅行取扱高」(下表)を見ますと、2013年5月から増え続けています。私はこの統計を見る前、円安が進んだことで、日本から海外に出て行く旅行者(アウトバウンド)が減り、旅行業の業績は悪化しているのではないか、という仮説を持っていました。実際は、どうだったのでしょうか。もう少し詳しいデータを見てみましょう。

観光庁が発表した2013年12月の「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」によると、海外旅行の取扱額は、前年同月比107.2%、外国人旅行は同比104.0%、国内旅行は同比108.2%と、いずれも増えているのです。

ただし、募集型企画旅行の取扱状況を見ますと、確かに取扱高はいずれも前年同月より増えていますが、取扱人数という点では、海外旅行が前年同月比98.8%と若干減少しています。

その一方で、外国人旅行は、取扱高自体は少ないものの、取扱人数が同比142.0%まで増加しているのです。

以上のことから、円安の影響で外国人観光客が急増したわけですが、取扱高は微増となりました。一方、日本から国外への海外旅行者は微減しましたが、取扱額自体は少し増えたというわけです。

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