エイチ・アイ・エスと、近ツーを分析する 円安なのに活況の旅行業、今後も好調は続く?

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もう少し詳しく見てみましょう。2013年12月単月の「主要旅行業者の旅行取扱状況速報(NO.1参照)」の「各社別内訳」によりますと、HISの海外旅行の取扱額は前年同月比116.4%。外国人旅行の取扱額は、同比259.0%。国内旅行は同比128.5%。全体で同比117.8%となりました。やはり円安の好影響から、外国人旅行の取扱額が、規模自体はそれほど大きくないものの、大幅に増えていることがわかります。また、国内旅行が大きく伸びていることにも注目です。HISは順調に業績を伸ばしていると言えるでしょう。

次に、KNTの業績も見てみましょう。同じ資料にある「KNT-CTホールディングス(9社計、NO.2参照)」を見ますと、2013年12月単月では、海外旅行が前年同月比100.7%、外国人旅行が同比129.3%、国内旅行が同比107.3%。そして合計が同比105.7%と、HISほどではないものの、いずれも伸びていることがわかります。

ちなみに、KNTを旅行部門に連結した近畿日本鉄道の平成26年3月期 第3四半期決算(2013年4~12月)のセグメント情報(3ページ)を見ますと、「ホテル・レジャー」のうち「旅行業」の営業収益(売上高)は3261億円(前年同期比174.2%)と大幅に伸びています。

以上のことから、大手旅行会社2社の業績は、伸び率に少し差があるものの、旅行業全体の動きと同じく好調だと言えます。

旅行業の見通しを見極める、4つのポイント

このように、旅行業は今のところ好業績を維持していますが、今後はどのように推移していくのでしょうか。見極めのポイントは、大きく分けて4つあります。

第1に、中国の経済と反日感情の動向です。日本政府観光局(JNTO)が発表している「国・地域別 訪日観光客数(暫定値)」の2013年12月のデータを見ますと、外国からの観光客のうち、アジアが全体の約80%を占めており、その中でも中国からの観光客数が前年同月比185.3%増と大幅に増加していることがわかります。

これは、中国の富裕層が増えていることに加え、2012年の尖閣国有化に伴う反日デモでピークに達した反日感情が民間のレベルでは落ち着いてきたことが、大きな理由だと考えられます。

逆に言いますと、今後、中国景気が悪化したり、尖閣諸島の問題が再燃して反日感情が高まることがあれば、日本の旅行業は大きなダメージを受けるおそれがあるということです。今は中国のシャドーバンキング問題もくすぶっていますから、こちらのニュースも併せて注意することが大切です。ただ、私は、中国の景気は、短期的には維持されるのではないかと考えています。

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