三井造船とキッコーマンを分析する アベノミクスによる円安で、恩恵はあったのか

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損益計算書に戻りましょう。売上原価は15.8%増の2049億円。円安によって、輸入した原材料の価格が上がっている部分もあるでしょうが、キッコーマンは海外で製造して海外で販売する割合が高いですから、原価率はそれほど変わっていません。売上原価率を計算しますと、平成25年3月期は59.0%、前期は59.7%ですから、ほぼ横ばいなのです。したがって、売上総利益も順調に伸びて12.2%増の1382億円となりました。営業利益も20.4%増の238億円と大幅に増えています。

キッコーマンが好業績となった理由は、アベノミクスや国内の景気回復とはあまり関係がなく、円安の好影響と、海外での和食ブームというふたつの点が大きいと言えます。

今期の業績予想は、引き続き海外市場を拡大させていくことで、売上高は前期より5.2%増の3610億円、営業利益は3.6%増の247億円を見込んでいます。日本での消費税増税の影響が心配されますが、キッコーマンは海外比率が高いですから、全体の業績にはそれほど影響はないと考えられます。

小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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