愛知県豊橋市での講演会を前に、「どこかで前泊しよう」と思い立ち、ずっと行ってみたかった伊勢神宮を経由し、「鳥羽に宿泊、そこからフェリーで渥美半島に渡り、北上して豊橋入りする」というプチ壮大な計画を立てました。「ぐるり伊勢湾周遊の旅」です。
東海道新幹線に乗り、名古屋を経由して、近鉄特急に乗って、伊勢市の駅を降りたとき、「すみません」と声をかけられました。目をやると、名古屋までの新幹線で隣に座っていた男性です。
驚いていると、「すごい偶然ですね~」「せっかくなので一緒に回りませんか」とお誘いを受けました。気ままな一人旅が大好きなので躊躇したのですが、男性の勇気に気圧されて、「いいですよ~」と返事をしてしまいました。
メインクライアントである中高年男性の生態やコミュ力について研究をしている「自称おじさん研究家」として、「『プライドをかなぐり捨てて、まったく知らない人に話しかけることのできる人』の秘密を知りたかった」という動機もありました。
雑談は「相手と話したい」強い気持ちから始まる
50代の男性は私同様、出張を利用して、お伊勢参りをしようと思い立ったとのこと。出身地や子どもの話など共通点も多く、お互いのこれからの生き方などを歩きながら、とことん語り合いました。
話を聞くと、サーフィンやサイクリングなど多趣味で、誰とでも気軽に話すので、友人も多いそうで、人との垣根が低いのが印象的でした。出会いは人生を豊かにする、まさに「旅は道連れ、世は情け」というわけです。
こうした「偶然の会話」は海外ではよくあることですが、日本では珍しく、とくに中高年の男性の場合は、知らない女性に声をかけるなど、相当ハードルが高いはず。そもそも、「変な意図があると思われないか」「相手に迷惑がかかるのではないか」と考えてしまうでしょう。
もちろん、大前提として「一緒の新幹線に乗り合わせた」という偶然があってのことですが、あとで「なぜ、断られるかもしれないのに声をかけたのですか?」と尋ねたところ、「『迷惑がられるかな』と思うより、『話したい』という気持ちが勝ったから」という答えが返ってきました。
ここに「雑談の大きなヒント」があると思いました。
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