《プロに聞く!人事労務Q&A》労基法改正の適用が猶予される中小企業の範囲とは?
回答者:半沢社会保険労務士事務所 半沢公一
改正労働基準法(10年4月1日施行)においては、月60時間を超える法定時間外労働に対して、会社は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
しかしながら、経営体力が必ずしも強くない中小企業においては、時間外労働抑制のための業務処理体制の見直し、新規雇い入れ、省力化投資等の速やかな対応が困難であり、やむをえず時間外労働を行わせた場合の経済的負担も大きいことから、同法第138条において、同条に規定する中小事業主については、当分の間、法定割増賃金率の引き上げを猶予することとなります。
これに伴い、同法第37条第3項の規定による代償休暇(引き上げ分の割増賃金の代わりに有休の休暇を付与する制度)も適用されないことになります。
この中小企業の猶予措置は、「当分の間」となっており、改正法の施行後3年を経過した時に、検討・見直しが予定されています。
さて、中小企業に該当するか否かは、各業種別に、「資本金の額又は出資の総額」と「常時使用する労働者数」で判断されます。いずれかに該当すれば中小企業になります(次表)。
まず、業種ですが、業種分類は、日本標準産業分類(第12回改定〈08年4月1日施行〉)に従います。詳細は、総務省統計局のホームページに掲載されています。
同一企業の中で複数の事業を営んでいる場合は、主たる業種は何であるかを総合的に判断して決定します。