コロナ禍は今後の新卒採用をどう変えるのか 合同説明会なく、インターンもオンラインで

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囲碁・将棋でトップ棋士がAIに破れたことで話題になったAIだが、現在は花形技術として認知されている。人事の世界でもAIを利用した支援サービスが2、3年前から話題になっているが、導入企業は少なかった。

今回の調査ではAI面接に言及した企業が2社あった。いずれも従業員1001人以上の大手である。

「AI面接の導入」(サービス・1001人以上)

「AI面接の導入(未定であるが)3月のナビ登録及び合同説明会への参加取り止め」(メーカー・1001人以上)

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オンライン面接で人事担当者の危惧は、学生の表情では人物の把握が難しいことだ。人間は対面での判断に慣れており、オンライン画面での応接で判断する経験がなかった。AIはもともとデジタルデータを通して判断しているのが、多くの面接事例を学習すれば、人間性の判断も可能かもしれない。応募者が多い著名企業ではデータを蓄積しやすいし、面接の自働化メリットは大きい。逆に応募者の少ない企業でAI面接のメリットは少ないと思う。ただ、現状でAI面接の有効性を実証するデータは乏しく、能力の判断には導入事例の蓄積が必要だと思う。

メリットも大きいオンライン化

2022年卒採用を検証してきたが、いちばん大きな変化はオンライン対応だ。1年前でも携帯電話で動画通話は行われていた。郷里の祖父祖母と都会の孫の会話が典型だ。家族の笑顔を確認すると幸せな気分になる。

ところが、リモート勤務にしてもオンライン採用にしても相手は家族ではなく、赤の他人だ。また、パソコンを見ながら会話することに慣れている人はきわめて少なかった。だから弊害を指摘することが多かった。「オンラインでは信頼関係は生まれない」や「微妙なニュアンスが伝わらない」というわけだ。

しかし、リモートワークが浸透した組織では違う結果も報告されている。高頻度でリモートワークを実施するとコミュニケーション満足度が高まったそうだ。オンラインに慣れて調整・順応したのだ。

リモートワークは、同じ組織の固定メンバーで行われる。だが、新卒採用は違う。企業と学生は新たな出会いを繰り返すので、リモートワークとは異なって当然。しかし、人間は経験によって学び、環境に順応する動物だ。おそらくプラスの効能もあるはずだ。2022年卒採用が一巡する段階でその効能もはっきりしてくるだろう。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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