20世紀に病棟で綴ったメッセージ
(略)
「轟木敏秀のホームページ」というサイトがある。全身に深刻な筋力低下を引き起こす筋ジストロフィー(デュシェンヌ型=D型)を幼い頃から患っている轟木敏秀(とどろき・としひで)さんが立ち上げた個人サイトだ。
上記の文章を書いた頃の轟木さんは病が進行し、両手の親指をかすかに動かせるほどの状況だった。自力で呼吸する筋力はすでになく、気管を切開してつなげた人工呼吸器で換気(ガス交換)を維持。もちろん自力で寝返りを打つこともできない。それでも介助を受けながら1日2時間パソコンを操作してサイトを更新したり、雑誌や新聞を読んでメールで感想を送ったりした。この文章から1年近く経った1998年8月に35年と7カ月強の生涯を閉じるまで。
元サイトはすでに消失しているが、自叙伝『光彩』の復刻版を加えたミラーサイト(※)は現在もアクセスできる。
これはとてつもなく希少な結果だ。その理由は轟木さんの人生とその後を追いかけると見えてくる。
※パソコンで閲覧すると、音楽ファイル(afternoon.mid)が自動でダウンロードされる場合がある。ページにBGMを仕込んだ当時のサイトを開くとよく発生する現象なので基本的に無害だが、気になる人はミラーサイトではなく、装飾を省いたサブページへのアクセスを推奨したい。
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