「すき家」「和民」問題の向こうに見えるもの 外食の人手不足が暗示する、日本の将来

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藤野 都内のアルバイトで時給1800円というのが出ましたよね。ワタミなどはブラック企業だという批判が増えて、実際に一部の業態などで採用難に陥ったわけですが、このような動きは消費者にとってもマイナスだと思います。人が集まらなくなったら、アルバイトの時給をどんどん引き上げて、何としてでも人材を確保しようとするじゃないですか。

外食産業全般が人手不足ですから、恐らくこれからアルバイトの時給はウナギ登りになるでしょう。そして、引き上げられた時給は結局、価格に転嫁されます。つまり、「安い値段でも良いサービス」というのが、これからの日本では受けられなくなるでしょう。牛丼なんかも、ひょっとしたら深夜割増料金が設定されるかも知れません。

渋澤 あと、気になるのがミスマッチの問題。確かに人手不足はあるのだけれども、特に新卒で就職を希望している学生と、採用する企業側との間に、ミスマッチが生じていると思います。たとえば、今の若者は就職の時、100社とか200社に応募するわけですが、企業側はまず有名大学から学生を採ろうとしますから、そうでない大学の学生は入口段階で振り落とされてしまいます。でも、有名大学の学生は人数に限りがある。結果、こうしたミスマッチによって、多くの企業が採用難に陥ってしまうという構図です。

中野 今も有名大学かどうかで、足切りをやっているんですか。

藤野 リクルーターの立場からすれば、ある程度は仕方がないと思います。物すごい人数の学生が就職を希望してくるのですから、何かを基準にしてバサッと振り落とさなければならない。

渋澤 「教育強者」は選択肢がたくさんあるから問題ないのですが、そうでない大学に行った子供の親は、パニック状態に陥っていますよ。「うちの子は就職できるの?」ってね。

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