日本で「欧米流ジョブ型雇用」導入が厄介な理由 今こそ知っておくべき7つのポイント
- ⑤就職戦線が大きく変わる
まず大前提として「ジョブ型」の世界では会社は教育訓練をしません。なぜなら、決まった職務を遂行できるスキルを持っている人材を採用することが前提だからです。
したがって、採用するポイントは実際に職務を遂行するスキルを採用時点で持っているか否かが重視され、「協調性がある」「コミュニケーション能力がある」といった情意の要素はあまり参考にされません。
現在、日本の多くの学生は職務を遂行するためのスキルを学生時代に体得していませんので、ジョブ型の雇用慣行が広く採用されるようになると、就職が困難な状態に陥ります。新卒一括採用が大幅に減少し、若年者の失業率が増加します。
「新卒」がブランドではなくなる
大学を卒業後、一部の超エリートはこれまでのように新卒採用の対象となり、幹部候補として企業内の教育プログラムを受けますが、多くの学生は給与が極端に低いか、そもそも給与が支払われないインターンシップやアシスタントとしてキャリアを始めることになります。その間にスキルを磨き、能力が認められればその職場で正社員としてのオファーが来るか、求人情報をみて自分を売り込んでいくことになります。
つまり、いわゆる新卒がブランドではなくなるということです。「会社から教育してもらう」「企業は人を育てるべき」という認識が大きく変わっていきます。
- ⑥出世する手段が変わる
ここまで見てきて、こんな疑問を感じている方はいませんか。
「ジョブローテーションもなく、教育もなく、同じ仕事をずっと続けていて管理職に昇進させてもらえるのだろうか」
ジョブ型では内部昇進はなじまないためいわゆる幹部といわれる人たちは、一部のエリート枠で採用した者を除き、経営のプロを外部から採用します。ノンエリートの一般職で入社して、その会社で出世をして幹部になるということはまったくゼロではありませんが、まれです。
幹部になりたければ、経営学系の大学院などで学び、自分自身で必要なスキルを身に付けて売り込んでいくことが主流となります。
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