イギリス「再ロックダウン」の大きすぎる影響 11月5日から約1カ月間、前回とは何が違うのか

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しかし、前回はテイクアウトができる飲み物の中にアルコール飲料も入っていた。今回はこれが除外されている。再ロックダウンの予定が発表された翌日から、パブの一部は通常の数倍安い値段でビールを販売し始めた。「捨てるよりは、飲んでほしい」のが本音だった。

イギリスの人口の84%を占めるイングランド全土でロックダウンが再度採用されることによる社会的な影響は非常に大きい。イギリスのシンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)は、感染拡大の第2波、ロックダウン、イギリスの欧州連合からの離脱によって、今年第四半期のイギリスの成長率を1・5%増から3.3%減に修正する見通しを示している。

イギリス商工会議所のノアダム・マーシャル事務局長はロックダウンによって「さまざまなコロナ対策を講じてきたビジネス界が壊滅的打撃を受ける」という。コロナ禍以前と比べて「多くの企業がはるかに弱体化している。今回のロックダウンを生き延びることができるかどうかの戦いになる」。

いまだに飲食店や電車はガラガラ

生きるか死ぬかの状態であることを筆者が実感するのは、ロンドン中心街や、近郊の通りを歩く時だ。閉店となった店舗があちこちにあり、レストランや美容院の中をのぞくとかなり客数が少ない。誰もいない状態も珍しくはない。最近になって、ようやく客は戻ったようにも見えたが、社会的距離を取る必要からすべてのテーブルを埋めることができない。

電車もラッシュ時以外は空いており、駅構内の人も少ない。ロンドン市内のバスは人数制限が課されているため、これでは十分な収入は得られないだろう。利用客が激減した航空界はもっと悲惨だ。イギリス政府は、今のところ特定の業界を対象にした財政支援を提供していない。

低所得者に財政支援を提供する「ユニバーサルクレジット」への申請者はコロナ禍によって、5月時点で約180万人に達し、無料で食料品を得られる「フードバンク」の物資を集めるための拠点が通りのあちこちに設けられている。

政府は10月末までで終了予定だった、雇用維持スキーム(従業員は現在の非就労期間分の給与の80%、月に最大2500ポンド=約34万円までを受けとることができる)を延長することを決めた。

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