新型コロナ、ワクチン承認に政治介入の大問題

米国の拙速な承認プロセスにあがる危惧の声

2020年5月1日、ギリアド・サイエンシズのレムデシビルを認可した際にホワイトハウスで会談したトランプ大統領(左)とFDAのステファン・ハーン長官(中央)(写真:AP/アフロ)

「ワクチンがごり押しで早期承認されるのではないか」

新型コロナウイルスのワクチン承認をめぐり、アメリカのトランプ大統領の動きに警戒感が高まっている。

9月23日時点における全世界の感染者数は約3100万人、死者数は97万人を超えた。日本でも7月以降の「第2波」はおさまったように見えるが、冬の到来を前に次の感染拡大への懸念は消えていない。

コロナワクチンに高まる期待

新型コロナウイルス向けの治療薬として承認を受けたのはいまのところ2つだけだ。アメリカのギリアド・サイエンシスズの抗ウイルス薬「ベクルリー」とステロイド剤の「デキサメタゾン」。ベクルリーは、回復期間を短縮する効果はあるが、死亡率の改善効果(統計的有意性)は認められてない。死亡率低下の効果があると認められた治療薬はデキサメタゾンだけだ。

治療薬がほとんどない以上、感染を予防するワクチンにいやが上にも期待が集まる。

承認の最終関門である臨床試験第3相(P3)には、すでに10近い候補がある。アストラゼネカ(イギリス)=オックスフォード大、モデルナ(アメリカ)、ファイザー(アメリカ)=ビオンテック(ドイツ)の3陣営は、今夏からアメリカなどで3万人規模の健康な人を対象に、ワクチンと偽ワクチン(プラセボ)を注射し、有効性や安全性を確かめる治験を進めている。

承認を受けるまでに10年かかるのは珍しくないワクチン開発の世界で、新型コロナウイルスの発見から8カ月しか経ってない段階で、ここまで開発が進む異例な状況になっている。

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