新型コロナ、ワクチン承認に政治介入の大問題

米国の拙速な承認プロセスにあがる危惧の声

新型コロナのワクチン承認でもトランプ氏は政治介入の構えを見せている。

トランプ氏の発言は「闇の政府がワクチンの承認を大統領選後に引き延ばそうとしている」「11月3日の大統領選前にもワクチンは実用化できる」などと過激で、ワクチン承認プロセスへの大統領介入の疑いを強めている。

民主党のバイデン候補に対し、支持率で劣勢にあると言われるトランプ陣営には危機感がある。マスクやPCR検査など、新型コロナ対策の初動を誤り、トランプ政権は失点を重ねた。11月の大統領選の前に「ワクチンの迅速承認」を実現し、選挙戦でのアピール材料にしたいという思惑もある。

ワクチン承認で日本が突きつけられた問題

本来であれば、科学的観点から新薬を承認すべきFDAのハーン長官は、「最終治験が完了してない段階でもEUAを出す」可能性を示唆している。抗マラリア薬や血漿治療の先例があるだけに、ワクチン承認でも政治的介入を許すのではないかという懸念が強まっている。

こうした最中の9月8日、アストラゼネカやファイザー、モデルナなど欧米の製薬9社の首脳は「大規模治験で安全性・有効性のデータが証明できない限りはワクチンの承認は求めない」という内容の誓約書に署名した。製薬メーカー首脳が前代未聞の行動に出たのは、トランプ政権による政治的介入へ事前の牽制をしたということだ。

日本も対岸の火事ではいられない。有効性や安全性が最終的に証明されていないワクチンがアメリカで承認された場合、日本はどうするのかという問題を突きつけられている。

治療薬ベクルリーが5月1日にアメリカでEUAを取得した後、日本は5月初旬には異例のスピードで特例承認した。このケースでは、アメリカで治療薬の有効性・安全性を担保する治験データ結果があった。日本もレムデシビルの国際共同治験に参画していて国内データが存在した。

しかし、有効性や安全性が最終的に証明されていないアメリカのワクチンを国内承認するのは簡単ではない。そのワクチンを接種したせいで重篤な副作用が発生すれば、国民の健康・生命に危険が及びかねないからだ。

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