新型コロナ、ワクチン承認に政治介入の大問題 米国の拙速な承認プロセスにあがる危惧の声

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日本政府はアストラゼネカやノババックス(アメリカ)と、それぞれ1億2000万回分(1人2回接種なので6000万人分に相当)のワクチン購入計画を結んでいる。モデルナとも4000万回分以上を購入すべく交渉中だ。

製薬メーカーは海外で副作用などの問題が起きた場合に備え、賠償責任を購入先に負わせることが多い。海外メーカーの要請もあり、日本政府も賠償責任を肩代わりする法整備の検討に入った。

日本人のワクチンへの信頼度は低い

政治的理由で承認されたワクチンを接種して問題になれば、ワクチン全般への不信感を増幅させるリスクもある。新型コロナ以外の感染症の大流行に備え、ワクチンを開発する際にもボディーブローのように効いてくる。

アメリカでは国民の25%が「ワクチンの安全性は疑わしい」と受け止めているという。専門医療ニュースサイトSTATと調査機関ハリスが8月下旬に実施した緊急調査では、回答者の78%が「ワクチンの承認過程が政治主導で、科学に基づいていない」と答えた。

イギリスのインペリアルカレッジロンドンによる大規模調査によると、「安全と了承している日本人は17%」となっている。ワクチンの信頼度は先進国で一般的に低い傾向にあるが、日本の低さは顕著だ。

子宮頸がん予防のためのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、定期接種開始直後の副作用が大きく報じられ、いまだに政府の積極的勧奨中止が続いている。これは先進国でも珍しいことで、後々大きな禍根を残すという反面教師だ。

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