今回のロックダウンのルールは前回に非常によく似ている。不要不急の外出はしないこと、外に出られるのは日用品の買い物や1日1回の運動のため、あるいは医療そのほかの例外の場合のみ。ただし銀行、病院などは以前同様開いている。
仕事はできうる限り自宅勤務にすること、室内及び個人の庭などで同居する家族以外の人物と集まらないこと。テイクアウトを除いたレストラン、バー、カフェの営業や、劇場、映画館、美術館、美容院、スポーツジムなどは一斉閉鎖。国内外の旅行にも自粛要請が出る。唯一異なるのは、学校が開いていることだ。
前回のロックダウンの影響
振り返ってみると、3月当時、国民の多くが、そして政策立案者もロックダウンによってどのような結果が起きるのかを十分には認識していなかった。
政府とメディア界が協力して「家にいよう(ステイ・アット・ホーム)」というメッセージを繰り返したとき、国民には「ウイルス退治のためには、仕方ない。ここは一致団結して困難を潜り抜けよう」という思いがあった。国民医療サービス「NHS」で働く医師や看護師の献身ぶりをねぎらうため、「感謝の印」として、週に一度、外に出て拍手をするイベントさえあった。
5月以降は次第にロックダウンの基準が緩やかになり、6月からは百貨店を含む不要不急ではない小売店の営業が再開。7月以降はレストランも次第に営業が許され、ホスピタリティ部門の需要を刺激するために、政府は「外食することで支援しよう(Help Out Eat Out)」キャンペーンを8月に主導した。これは8月中の月曜から水曜までの間に外食をすれば、代金が最大半額になるというお得なサービスで、多くの国民が利用した。
映画館は「社会的距離(ソーシャルディスタンシング)」に考慮した座席作りや、除菌ジェルをあちこちに置くなどして営業を再開。しかし、劇場は最初のロックダウン以降ほとんどが閉鎖中で、アーティストらが抗議活動を行ったばかりだ。
前回のロックダウン時、イギリスのパブ業界も大きな打撃を受けた。樽に入ったビールはいったん開けてしまうと、2、3日で飲み切る必要がある。突然のパブ閉鎖令で、約4000万リットルものビールが無駄になったという(イギリス・ビール&パブ協会調べ)。
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