和歌山「野菜の魔術師」が東京進出に興味ない訳 1日1組だけ、プロの料理人も訪れる人気店

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私が試食&試飲に伺った日には、なんと所用で東京にやってきていた小林シェフ、その人が! 幸運にもシェフのお話を伺いながらの試飲&試食となりました。魔術師の、熱い想いとシャイな素顔をご紹介しつつ、ここにお伝えさせていただきます。

酒とアテが提供されるのはショップエリアの奥の畳敷きの和空間。季節の花が生けられた特別な空間です(写真:LEON編集部)

今回、小林シェフが作った料理は5品。「黒豆蜜煮」「ドライトマト 梅塩」「柚餅子(ゆべし)クリーム」「かぼちゃ みりん 七味」「玄米 酒粕 生姜」。それぞれが、ヤヱガキ酒造の造る最高級日本酒に合わせて提供されます。

高足膳に並んだ料理を見ると、どれもイタリア料理には見えません。まずはそのあたりから。

── イタリアンというわけじゃないのですね?

「そうですね。完全にオリジナルというか」(小林シェフ、以下同)

── イタリア料理にはこだわらない?

「今はこだわりはないですね。料理の修業をしたのはイタリアですけど、今はそういう(こだわりという)感覚はなくて。取り入れられるものはすべて、和でも洋でも」

ワインに合わせて料理は考えない

── 今回は日本酒のアテということですけど、ご自身でも日本酒は飲まれますか?

「ワインがメインですけど、日本料理屋さんに行った時とか。家でもたまにいただくことはあります」

── そういう時にご自身でアテを作ったりは?

「ないです(笑)。でもレストランの上が自宅なんで。冷蔵庫を開ければ何かありますし、保存食も作ってますので」

── それらを使えばワインに合う料理もできるし日本酒のアテも作れると。

「そうですね」

── お店ではワインに合わせて料理を考えるようなことは?

「あんまりないですね。何かのイベントでもなければ。普段は、自分で作りたい料理を作ってからワインを合わせるので」

── では、先に酒ありき、みたいなことは新鮮?

「新鮮ですね」

── 今回、5種類の日本酒に対して5つの料理ということですが、5種と言っても白ワインと赤ワインのような分かりやすい違いがあるわけじゃありません。

「より繊細な感覚が求められますよね。食感や味がかぶらないのは基本ですけど、お酒の味とのバランス、香りや口当たりとの関係もありますし」

── 最初に5品を考えて、それを料理に合わせていった?

「まず5品考えたと言えばいえるし、でも1点1点考えますから。例えば、まずドライトマトはできたから、あとはこれとこれにしておこうとか。本当にパズルを一個ずつはめていくような感じで」

── 野菜を中心に考えると季節感ということが大きいと思いますが、この、秋から冬への時期の野菜というと?

「そもそも今って野菜が取れない時期なんですよ。夏が終わって、冬野菜が取れ始めるのが、来月(11月)ぐらいからなんですけど。だから保存しておいてたものを使って。ピクルスにしろドライトマトにしろ、黒豆にしろ。柚餅子もそうだし。その中でどうしようかというところから始まったんです」

なるほど。それでは早速お料理とお酒をいただきましょう。

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