芸能人のひき逃げ、当て逃げが繰り返される訳

「2020年の顔」伊藤健太郎が衝撃の逮捕

しかし、当然ながら事故を起こしたこと以上に、逃げて事件にしてしまったことのほうが罪は重く、「より迷惑をかけてしまう」という状況を招いてしまいました。少なくともこの段階で伊藤さんは、恐れが肥大しすぎて、そんな誰もがわかることを想像できていなかったのです。

「芸能人・伊藤健太郎」の意識が勝った

3つ目に考えられる「言い訳先行型」の心理状態は、自分だけに都合のいいように解釈してしまうこと。

実際、かつて当て逃げ事故を起こしたある芸人が謝罪会見で、「『ひょっとしたら当たったのではないかな』という感じはあったのですが、どこか自分の都合のいいように解釈してしまい、『当たっていないのではないか』と思い込んで、その場を離れてしまいました」とコメントしていました。

芸能界には若くして成功を収めた人や、長年人気を集め続けている人も多いだけに、「たぶん当たってないし、当たったとしてもかすった程度だから大丈夫だろう」「だから自分は当て逃げしたわけではない」などと都合のいいように解釈してしまう人がいるのでしょう。

さらに、もっとひどい人になると、「向こうにも多少の過失はあるだろうし、自分だけが悪いわけじゃないよね」「相手の運転がよくなかったから接触したんじゃないか」などと考えはじめてしまいます。

その点、伊藤さんも言い訳こそしていませんが、事故相手のことを考えられず、自分の都合のいいように考えてしまった感がありました。残念ながら、伊藤健太郎という1人の人間である以前に、「芸能人・伊藤健太郎」の意識が勝ってしまったのかもしれません。

ここまで「思考停止型」「恐れ肥大型」「言い訳先行型」という3つの心理傾向を挙げてきましたが、すべてにつながっているのは、芸能事務所による個人へのリスクマネジメントやコンプライアンス順守の教育が不十分だから。それなりに名の知れた芸能人なら、一般企業の代表クラスのリスクマネジメントやコンプライアンス順守が求められているにもかかわらず、それが十分ではないのです。

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