芸能人のひき逃げ、当て逃げが繰り返される訳 「2020年の顔」伊藤健太郎が衝撃の逮捕

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芸能人のような日ごろ華やかな場で好意の目を向けられている人ほど不意のアクシデントに弱く、ただ漠然とした「ヤバイ」という気持ちが頭を覆い尽くし、すべてをなかったことにするべく現実逃避。本人に悪気こそないものの、命に関わる重傷を負ったかもしれない相手や、多額の修復費用がかかることなどを考えていないのは間違いありません。

もともと芸能人の仕事は、その多くが「スタッフの指示や意図をベースに動き、その準備やフォローをマネジャーにしてもらう」という受け身のスタンス。そのため、演技、トーク、笑い、音楽など、「ある分野の経験や自信はあるが、他の分野では経験不足で自信がない」という人も多く、とりわけプライベートで不測の出来事が起きると思考停止になりやすいところがあります。

ただ、伊藤さんが「思考停止型」だったかと言えば、そうとは言えません。伊藤さんは9月14日放送の「SUITS/スーツ2」(フジテレビ系)第11話で、パーティー帰りにひき逃げをして被害者を死亡させてしまう男性の役を演じました。つまり、ひき逃げしたらどんなことになってしまうのか、ある程度はわかっていたはずであり、完全に思考停止していたとは思えないのです。

間近に迫る映画公開と大量のテレビ出演

そこで可能性が高いと推察されるのは、「恐れ肥大型」の心理状態。伊藤さんは事故の翌々日に映画『とんかつDJアゲ太郎』の公開を控え、さらに11月6日にも主演映画『十二単衣を着た悪魔』が公開予定であり、現在はそれに関わる各局への番宣出演が相次いでいました。

映画の公開が間近に迫り、放送を控えたテレビ出演が多かっただけに、事故を起こした瞬間、思考停止に陥ったのではなく、「事故がバレたら映画は公開中止?」「番宣出演も差し替え?」「CMも放送不可?」「賠償金は何億?」などが頭をよぎったのではないでしょうか。

さらに、その場を立ち去りながらの数分間、「もしこの事故がバレたら、自分はどうなってしまうのだろう。強烈に叩かれて引退に追い込まれるのではないか」などと恐れが増していったことは想像に難くありません。近年、不祥事を起こした芸能人たちの言動を見ても、共演者、スタッフ、スポンサー、事務所関係者などの顔が浮かび、「謝罪会見は避けたい」などの気持ちが強くなっていくようです。

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