芸能人のひき逃げ、当て逃げが繰り返される訳 「2020年の顔」伊藤健太郎が衝撃の逮捕

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伊藤さんは、まだ23歳の若手俳優であり、近年の急速なブレイクや事務所の稼ぎ頭であることを踏まえると、トップ自らが繰り返しリスクマネジメントやコンプライアンスの重要性を伝えておかなければならなかったでしょう。

今後、伊藤さんが問われるであろう罰則は、過失運転致傷罪と救護義務違反の2つ。前者が「7年以下の懲役または禁錮もしくは100万円以下の罰金」、後者が「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」と、やはり事故を起こしたことより、逃げて事件にしてしまったことのほうが罰は重いのです。

所属事務所の意識が欠けていただけなのか。それとも、単にマンパワーが足りずリスクやコンプライアンスまで手が回らないのか。あるいは、売れっ子だからと顔色をうかがわなければいけないような関係性だったのか。今回のケースに限らず、いくつかの原因が考えられるでしょう。しかし、伊藤さんのケースでは「結果的に所属事務所が存亡の危機に立たされている」という重い事実が、組織としての対応に問題があったことを物語っています。

事故は起きるが、事件や批判は防げる

最後に1つふれておきたいのは、このコラムを書いた真の理由。決して伊藤さんや芸能人を攻撃したいからではなく、むしろ「二度とこのようなことが起きないように」という思いによるものでした。

実は今年だけで伊藤健太郎さんに関するコメントを5つのメディアから求められ、なかにはこれから編集・公開されるものもあります。つまり、それほど2020年の活躍が際立っていたのであって、その演技とこれまでの努力を称えるコメントを提供していただけに、バッシングが吹き荒れる現状は残念で仕方がありません。

今回の事故は防げなかったとしても、事件やバッシングは間違いなく防げるものでしたし、それは難しいことではないでしょう。伊藤さんに限らず、「才能のある芸能人たちが、ひき逃げ、当て逃げをしませんように」という思いを込めてコラムを締めくくります。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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