中国「ショート動画」のユーザー数が8億人突破 1日当たりの利用時間が対話アプリを上回る

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ショート動画の急成長を牽引するのは2大アプリの「抖音(ドゥイン)」と「快手(クワイショウ)」だ(写真は快手のウェブサイトより)

ショート動画が中国ネット業界の勢力図を塗り替えつつある。中国インターネット放送サービス協会が10月12日に発表した報告書によれば、中国国内でネット経由の動画や音声の配信サービスを視聴しているユーザー数は2020年6月末時点で9億100万人に達し、1年前より15.51%増加。なかでもショート動画の人気が大きく高まり、ユーザー数が8億人を突破した。

背景には新型コロナウイルス流行の影響で、人々の娯楽需要のオンライン・シフトが加速したことがある。報告書の分析によれば、新たに増加したネット視聴者の72.2%は、地方の中小都市や農村部など所得水準が比較的低い地域に暮らすユーザーだった。

これらの新規ネットユーザーの2割以上は、動画・音声のネット配信を通じて初めてインターネットに触れた。さらにその中の15.2%は、ショート動画を見るためにネットを利用し始めたという。新規ネットユーザーのショート動画の利用率は2018年12月末時点より24%も増え、ほかの動画・音声アプリケーションと比べて吸引力が突出している。

抖音と快手のユーザー属性に違い

ショート動画の急成長を牽引するのは、TikTok(ティックトック)の中国国内版である「抖音(ドゥイン)」とそのライバルの「快手(クワイショウ)」という2大アプリだ。報告書によれば、2019年のネット動画・音声サービスの総市場規模は4541億3000万元(約7兆1243億円)。ショート動画の市場規模はその3割近い1302億4000万元(約2兆432億円)に達しており、わずか1年で約2.8倍に拡大した。

それだけではない。ショート動画はネットユーザーの時間の使い方をも変えつつある。市場調査会社クエストモバイルのデータによれば、ネットユーザーのショート動画アプリの使用時間は1日平均110分と、微信(ウィーチャット)に代表される対話アプリの使用時間を上回った。

本記事は「財新」の提供記事です

なお報告書の分析によれば、ショート動画の2大アプリには視聴者や動画投稿者の属性に明確な違いがある。

例えば、抖音のユーザーは女性が多く、快手は男性が多い。また、抖音のユーザーは大都市に暮らす1980~1990年代生まれの世代で、学歴は高卒以上が中心だ。これに対し、快手のユーザーの多くは地方の中小都市に住む2000年以降生まれのさらに若い世代で、学歴は中卒レベルも少なくない。

(財新記者:関聡)
※原文の配信は10月13日

財新 Biz&Tech

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