うつが「すぐ治る人」「重症化する人」の決定的差 15人に1人がかかる「心の骨折」との付き合い方

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以上の3つの症状に当てはまる人は、非常に多いのではないでしょうか。いずれも脳疲労や身体的疲労がたまっている状態で、うつ病に限らず、多くのメンタル疾患や生活習慣病の予備軍の症状にも通じます。

ということで、これらの兆候が見られた方は、「睡眠、運動、朝散歩、節酒・禁煙、休養、ストレス発散」。6つの生活習慣改善を徹底して行ってください。

「朝15分の散歩」をするだけで予防できる

睡眠や運動などの生活習慣を変えるのは大変かもしれませんが、最もてっとり早く取り入れられておすすめなのが「朝15分の散歩」です。

朝、太陽の光を浴びながら散歩をすると、セロトニンが活性化します。セロトニンは、私たちの心と身体の健康のために不可欠な脳内物質です。

セロトニンは、「心の安定」「癒やし」「やすらぎ」のもととなる静かな幸福物質。脳内物質の指揮者ともいわれ、ドーパミンやノルアドレナリンなどを調整し、気分や感情を安定させます。ストレスに対する緩和作用もあり、セロトニンが十分に出ていれば、多少のストレスで動じることもありません。ノルアドレナリンとともに集中力にも深く関与しており、集中力やパフォーマンスを高めて、バリバリ仕事をするためにも必須の物質です。

「本当にたった15分の散歩で、そんなに効果があるの?」と半信半疑の方も多いと思います。しかし私の元には

・適応障害がよくなり再就職できた
・仕事のパフォーマンスが2倍になった
・うつ病が改善した
・朝散歩で劇的に体調が変わった

などの体験談が多く寄せられています。

『ブレイン メンタル 強化大全』(サンクチュアリ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

医師としてのこれまでの経験から、薬を飲んでもうつ症状がよくならない人には「夜型生活」「昼夜逆転の生活」を送っている人が非常に多いことがわかっています。

朝起きて、しっかり朝日を浴びて、近所を散歩する。たったこれだけでうつを予防できると思えば安いものです。だまされたと思って試してみてください。数日続けると、体と心が軽くなっていくのが実感できるはず。

もしそれでも効果がなく、「気分の落ち込み」「何をしても楽しくない」「意欲の低下」などうつ病の症状が見られる場合は、すぐに精神科を受診してください。

樺沢 紫苑 精神科医、作家

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かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

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