チャーハン専門店でFC展開を目指す店主の勝算 セントラルキッチンでは出せない本物の味とは

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「ネットを中心にさまざまなメディアで『好きな中華料理のメニュー』ランキングが発表されています。どれを見てもチャーハンはベスト4に入っているんです。上位にランクインしている餃子やマーボー豆腐、小籠包は専門店があるのに、なぜかチャーハンの専門店は少ない。これもチャンスと捉えました」

セントラルキッチンでは出せない本物の味

なぜ、チャーハン専門店のチェーンは少ないのか。まず、考えられるのは味の均一化だ。味が辛すぎたり、薄すぎたりと、町中華のチャーハンでさえも味のバラツキがある。チェーン店であれば、どの店で食べても同じ味でなければならない。

さらには、料理を提供するスピードも求められる。「大阪王将」や「リンガーハット」などのチェーンが自動調理器を使っているのはそのためだろう。

しかし、清水さんの店では使っていない。食材はレシピに基づいてすべて計量していて、タレと具材を1人前ずつ小分けにしている。注文ごとにご飯と卵を合わせれば、味がバラつくことはないのだ。

とはいえ、誰でも清水さんのように業務用ガスコンロの強力な火力を自在に操り、重たい中華鍋を振ることができるわけではない。アルバイトだけでも店を任せられるのがFCビジネスではないのか。

「昔ながらの町中華のように、お客さんの目の前で豪快に中華鍋を振る姿を見せるのも、チャーハン専門店としては不可欠なんです。おっしゃるとおり、調理はアルバイトにはできません。研修時に最低でも1カ月は毎日チャーハンを作って、炒める技術を身に付けてもらいます。本気でチャーハン専門店をやってみたい方とFC契約ができればと考えています」

自動調理器では出せない味が生まれる(筆者撮影)

確かに、消費者はセントラルキッチンで調理したものを温めただけの味には辟易している。隆盛を極めたファミリーレストランが時代とともに衰退していったのも、そんな理由からだろう。そう考えると、ここでしか味わえない手作りのチャーハン専門店のFC展開は十分に可能性があるような気がしてきた。

そこで気になるのは、FC契約の中身である。飲食店におけるFC契約は、契約料300万円にロイヤルティーとして売り上げの5%を本部に収める、というのが相場である。しかし、新型コロナウイルスで飲食のFC店も打撃を受け、閉店を余儀なくされた店も少なくはない。清水さんは従来のFC契約のあり方にも疑問を呈する。

「ロイヤルティーを売り上げに対して課せられると、本部はFC店がコロナで打撃を受けても痛くもかゆくもないんです。だから、私は粗利益に対して課すシステムを考えています。不測の事態が起こったとき、本部はFC店と痛み分けするのが本来の姿であり、そのほうがお互いに緊張感を持って仕事ができますから」

現在、清水さんは第2号店として、30〜40席のファミレス型店舗のオープンの準備を進めているという。長い間、脇役だったチャーハンが主役になる日も近い?

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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