名古屋の「大陸系中華」が東京に出店する理由

辛さよりも肉の旨みが際立つ「台湾ラーメン」

東京・西荻窪の住宅街にある「中国料理 東京1号店」。台湾ラーメンやセットメニューの看板が目を引く(筆者撮影)

2018年2月、名古屋のある中国料理店が東京に進出した。味噌かつや手羽先、ひつまぶしなどの「名古屋めし」の有名店の大半はすでに東京に出店していることもあり、こういった情報は食傷気味かもしれない。その店はどこにでもあるような中国料理店ではあるが、名古屋の食文化の一翼を担っているのは間違いない。

名古屋を席巻する「大陸系中華」

店を紹介する前に、まずは名古屋の中華料理事情から説明する必要がある。東京では、素朴な味わいの中華そばやチャーハン、餃子など安くておいしい料理と居心地のよさで今、町中華が静かなブームとなっていると聞く。その反面、名古屋では店主の高齢化や後継者不足で町中華は激減しているのだ。

その代わりに増加の一途をたどっているのは、中国人が経営する中国料理店。地元では「大陸系中華」と呼ばれる店だ。店の外壁や看板に中国の国旗、五星紅旗を思わせる赤と黄を使っていて、ひと目見ればすぐにわかる。

メニューは日本の町中華とほぼ同じ。どの店も安くてボリュームのあるセットメニューを出していて、昼も夜もサラリーマンを中心ににぎわっている。

街の至る所で大陸系中華を見かけるようになったのは、ここ10年くらい。そのルーツとされるのが、1999年、千種区神田町に第1号店が開店した「中国料理 龍美」。ここが東京に出店したのである。

東京・西荻窪の住宅街にある「中国料理 龍美 東京1号店」を訪ねてみると、台湾ラーメンやセットメニューの看板が目を引く。外観だけ見ると、まるで名古屋にいるような錯覚に陥る。しかし、中国人が経営しているのであれば、本場の味を提供して町中華と差別化したほうがよいのではないか。実際、東京には中国の郷土料理の専門店がたくさんある。

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