ムスリムがみそ煮込みうどん店に殺到するワケ

ハラール対応の「名古屋めし」ができるまで

名古屋市千種区にあるみそ煮込みうどん専門店「山本屋 大久手店」にはムスリムの客が月に300人訪れ、手羽先も食べる(写真:青木さん提供)

日本人にとってはあまりなじみがないが、ベジタリアンや宗教上の理由で肉を食べない人が世界中にはたくさんいる。彼らが日本へ旅行したときに困るのが食事。東京や大阪ではベジタリアン(ヴィーガンも含む)やイスラム教徒向けにハラール対応している和食店は増えつつあるが、名古屋ではインド料理やトルコ料理、モロッコ料理などが中心。せっかく日本に、それも名古屋へ来たのに、名古屋めしが食べられないのである。

そんな中、名古屋市千種区にあるみそ煮込みうどん専門店「山本屋 大久手店」は昨年12月より、ムスリム対応のみそ煮込みうどんをはじめ、手羽先やみそ串かつなどの名古屋めしの販売をスタートさせた。

ムスリムの友人に店の料理を食べさせたい

「店を継ぐ前に、中古の建設機械をマレーシアやインドネシア、サウジアラビアなどに販売していました。取引していた外国人バイヤーは今でも友人としてつき合っていまして、彼らにみそ煮込みうどんを食べてもらえないかと思ったのがきっかけです」と、話すのは、店の5代目で山本屋の専務取締役、青木裕典さんだ。

「山本屋 大久手店」外観(筆者撮影)

「山本屋 大久手店」では、2014年ごろからインバウンドにも積極的に取り組んできた。多言語のメニューを作成しただけではなく、うどんの手打ち体験を企画して、海外の旅行情報サイトに載せた。

その内容は、名古屋の食文化や八丁みその歴史、みそ煮込みうどんの発祥などの話を聞いた後、麺のこねと延ばし、切りを実際に体験してもらうというもの。もちろん、自分が打った麺は食べることができる。これが大ヒットとなった。

「食事に親子煮込みうどんのほかに天ぷらとみそおでん、ご飯、漬物が付いて参加費は4200円。しかも、開店前の10時と客足の少なくなる16時のスタートにもかかわらず、満員御礼。中国人の富裕層が多かったので、アルコールを追加注文したり、高いワインもよく出ました」(青木さん)

次ページハラールに全世界共通の基準はない
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • おとなたちには、わからない
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 日本資本主義の父 渋沢栄一とは何者か
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT