ムスリムがみそ煮込みうどん店に殺到するワケ ハラール対応の「名古屋めし」ができるまで
中国人観光客の「爆買い」ブームが終わると、うどんの手打ち体験の申し込みもだんだんと少なくなっていった。そんな背景もあり、ハラール対応メニューは、これから増加するといわれるイスラム圏からの観光客の来店にもつながると思った。そこで青木さんはハラールについて認証の手続きなどについて調べた。
「ハラール認証の飲食店として登録するには年間約100万円から200万円と、ものすごくコストがかかることがわかったんです。もともとは友人に食べさせたいと思って始めたことですし、月に10人くらい来てもらえればという程度の考えでしたから、諦めざるをえませんでした」(青木さん)
しかし、ひょんなことから東京・浅草に本社があるフードダイバーシティの代表取締役、守護彰浩氏と出会い、ムスリム対応の飲食店は、ハラール認証団体からの認証取得を受けないまま商品を提供しているところが大半であることを知った。
そこで、ムスリム対応の店が情報を公開し、食べられるかどうかはムスリム(イスラム教徒)に判断してもらうという「ムスリムフレンドリー」という事業に参加することにした。
「ハラールは必要不可欠ですが、イスラム教の宗派ごとにさまざまな考え方があるんです。すべてに対応するのは不可能ですし、実は全世界共通の基準も存在しないんです。ムスリムに開示するのは、ハラールに対する6つのポリシーです。それを見て、店を利用するかしないかをムスリムの判断に委ねるというわけです」(青木さん)
目指すのはフードダイバーシティを軸とした街づくり
「ムスリムフレンドリーポリシー」は、以下のとおり。
(2)厨房は一般調理も行うため、ムスリム専用ではありません。
(3)ムスリム対応メニューにおいて、食肉はハラール認証を受けたものを使用。
(4)ムスリム対応メニューにおいて、調味料もハラール対応したものを使用。
※ハラール認証のないものは内容成分を確認して使用。
(5)まな板や包丁、ボール、フライヤーなどの調理器具は分けて使用。
(6)希望がある場合は使い捨てのフォーク・ナイフ・割り箸の対応可能。
(3)の食材と(4)の調味料で、店の看板メニューである鶏肉と卵が入った「親子入り味噌煮込みうどん」を作る場合、大豆と塩のみで仕込む八丁みそも水と小麦粉だけで打つ麺も問題ない。
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