チャーハン専門店でFC展開を目指す店主の勝算 セントラルキッチンでは出せない本物の味とは

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こうして生まれたのが、「金の豚チャーハン」である。そのおいしさは冒頭に書いたとおりである。ほかにも味付けは塩のみ、具材は卵のみのシンプルな「すっぴん」なるチャーハンと、名古屋名物の「ひつまぶし」のように薬味やだし汁で味変ができる夜限定の「龍の鶏チャーハン」を用意している。

味付けは塩のみのシンプルな「すっぴん」(筆者撮影)

サイドメニューには唐揚げとサラダ、そして、中華そばもある。しかし、あくまでもメインはチャーハンなのである。

「ラーメンやつけ麺、まぜそばの源流をたどれば、町中華の中華そばに行き着きます。チャーハンもラーメンのように、これからいろんな“流派”に分かれていくと思うんです。ウチがその源流になれればと思っています」

チャーハン専門店の潜在的な可能性

店主の清水良太さんは、中華料理店やラーメン店で修業をして、店をオープンさせたわけではない。開店する前は、名古屋を拠点に全国展開する「がブリチキン。」の運営会社、ブルームダイニングサービス(以下、ブルーム)で取締役営業本部長として、経営企画やマーケティング、販売促進、広報などの部門を取り仕切っていた。

ブルームへ入社したのは、2012年。大学卒業後に就職した食品会社からの転職だった。その頃は、「がブリチキン。」がまだ3店舗くらいしかなく、入社1年半ほどで名古屋駅の店を任された。その後、名古屋・栄や東京・高円寺店の立ち上げにも呼ばれた。

「当時はマニュアルもなかったので、あいさつからテーブルセッティングの仕方まで、ブランドにおけるノウハウの構築を任せてもらえました。とてもやりがいを感じていましたね」

よほど仕事ができたのだろう。入社してわずか4年で役員にまで出世した。しかし、清水さんは、サラリーマンで人生を終えることはまったく考えていなかった。飲食店を経営するだけではなく、「がブリチキン。」のようにチェーン展開をさせるのが自身の夢だったのである。今年3月に8年間勤めたブルームを辞めて、夢に向かって歩き出した。

一口に飲食店と言っても、さまざまな業態がある。当初は前出の「うま屋」のような「チャーハンがおいしいラーメン店」を考えていたという。

「ラーメンは、従来のしょうゆやみそ、塩、とんこつのほか、つけ麺やまぜそばなど細分化されすぎています。そんな状況では勝てるわけがありません。そんなとき、知り合いが何気なく放った、『チャーハン専門店でいいのでは?』という一言がきっかけとなって、気持ちはチャーハン専門店にシフトしていきました」

まず、清水さんは、FC展開しているチャーハン専門店がどれくらいあるのかを調べた。すると、東京・渋谷や立川、横浜などに展開する「かにチャーハンの店」や東京・吉祥寺に本店がある「肉あんかけチャーハン炒王」、地元の名古屋を拠点とする「ロンフーダイニング」などが見つかった。

ほかの業態と比べると、その数は極端に少なく、競合相手のいないことがわかった。清水さんの中で、チャーハン専門店の開業は現実味を帯びてきた。

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