花王、8年ぶり社長交代に込められた「ある課題」 赤字転落の化粧品と新事業立ち上げがカギ
花王は9月29日、次期社長人事を発表した。2021年1月1日付で専務執行役員の長谷部佳宏氏(60)が社長に昇格し、澤田道隆社長(64)は代表権のない会長に就任する。花王の社長交代は実に8年半ぶりとなる。
「兄貴とも言える方が託すバトンを受けないわけにはいかない」
長谷部氏は記者会見で澤田氏を「兄貴」と呼んだ。長谷部、澤田両氏は同じ技術畑の出身で、その付き合いは長谷部氏が入社した1990年までさかのぼる。長谷部氏が入社後に配属されたのは、和歌山研究所の素材などを研究する部署だった。そこの上司だったのが澤田氏だった。
長谷部氏起用の狙いとは
「最も尊敬する先輩であり、上司でもあります」と述べる長谷部氏について、澤田氏は「クレバーで、違う切り口で物事を進めるタイプ」と評する。
長谷部氏の担当は現在、先端技術戦略室統括。これは花王のデジタル化を推進する部署であり、その担当である長谷部氏をトップに起用したことに今回の人事の狙いが垣間見える。
澤田氏が社長に就任したのは2012年6月だった。その後、花王の売上高と利益は右肩上がりに成長した。売上高は2013年12月期に1兆3152億円だったが、2019年12月期には1兆5022億円と1800億円以上伸ばした。営業利益は就任から8期連続の増益。2013年12月期の1246億円から2019年12月期の2117億円へ約1.7倍になった。
澤田氏は社長としての成果に次の2つを挙げた。1つ目は紙おむつの「メリーズ」を売上高1000億円を超える事業にしたこと。これは、2017年から2020年までの中期経営計画「K20」で設定された目標の1つだ。
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