日立物流が迫られる「成長戦略」の練り直し

SGホールディングスとの経営統合検討は見送り

2016年に行った日立物流と佐川急便の提携会見。日立物流の中谷社長は右から2人目(撮影:梅谷秀司)

これで日本通運に次ぐ陸運業界2位企業の誕生は遠のいた。

9月24日、宅配大手の佐川急便の親会社であるSGホールディングス(HD)と、3PL(サードパーティーロジスティクス、物流の一括受託)大手の日立物流が、資本業務提携の見直しを発表した。日立物流が保有する佐川急便の株式20%はSGHDにすべて譲渡する。SGHDが有する日立物流の株式29%は、約14%分を日立物流が自己株買いで取得した。

2016年に両社が資本業務提携を発表したとき、将来の経営統合も視野に入れていたが、今回は「経営統合に向けた協議については、当面の間、検討を見送る」と一気にトーンダウン。両社はそれぞれの成長戦略を推進する方向性へ舵を切った。コロナ禍による事業環境の変化をその理由に挙げている。

株価は2社で異なる動き

今回の資本提携見直し発表後、両社の株価は明暗が分かれた。日立物流の場合、直近の株価は3500円を超えていたが、発表翌日の25日の株価は3425円(終値ベース)に値下がりした。JPモルガン証券の姫野良太シニアアナリストは「佐川急便の株式(20%)保有で得ていた持分法による投資利益がなくなるうえに、統合スキームとして日立物流が(SGHDに)TOB(公開買い付け)されることへの期待が失われたことが大きい」と分析する。
 一方、SGHDの株価は9月25日以降も上昇を続け、9月29日には上場来高値を更新。資本業務提携の見直しよりも、本業である宅配事業が安定的に成長していることが評価されたようだ。2021年3月期は、日立物流の株式売却益75億円、日立物流からの株式取得で佐川急便の持ち株比率が100%(従来は80%)になることで25億円、合計100億円が純利益に上乗せされる。

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