高知東生が語る「それでも薬物に手を出した訳」 なぜダメだとわかっていても使用したのか
薬物依存の問題は芸能人に限ったことではない。駅や街中に「ダメ。ゼッタイ。」といったコピーで薬物乱用禁止の啓蒙ポスターが貼られる中、ダメだと分かりながらも手を出してしまう人がいる。
なぜ薬物に手を出し、依存してしまうのか。2016年に薬物の使用や所持で逮捕され、現在は依存症問題の啓発に取り組む俳優の高知東生(たかちのぼる)さん、元NHKアナウンサーの塚本堅一さんのおふたりに、薬物に関する報道や啓発のあり方も含めてお話を伺った。
1964年高知県生まれ。1993年に芸能界デビューし、映画やドラマ、バラエティに多数出演する。2016年6月24日覚せい剤と大麻使用の容疑で逮捕。現在はフリーで活動しながら、依存症問題の啓発にも取り組んでいる。2020年9月、「生き直す 私は一人ではない」(青志社)を出版。
<塚本堅一さん>
ASK認定 依存症予防教育アドバイザー(元NHKアナウンサー)
明治大学卒業後、2003年にNHKに入局。京都や金沢、沖縄勤務を経て2015年に東京アナウンス室に配属。ニュース番組のリポーターを担当。2016年1月、違法薬物の所持・製造の罪で逮捕され懲戒免職となった。その後、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦医師の勧めで、依存症からの回復施設に通所。2019年8月「僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話」(KKベストセラーズ)を出版。現在はASK認定依存症予防教育アドバイザーとしての活動や、依存症関連のイベントなどの司会を行なっている。
なぜ薬物に手を出したのか
安部敏樹:おふたりは、それぞれどういった理由から薬物を手にしていったのですか。
高知東生:僕は家庭の事情もいろいろあり、何でもチャレンジして成り上がるぞと決めて、四国の高知から上京してきました。
当時の日本は、バブルという、みんなが何だか浮足立っていて、何でもOKみたいな不思議な時代。そんな時代背景の中で、たまたま僕と歳の近いひとりの男性に出会ったんです。その人は、仕事をバリバリやり、いい車に乗っていい物を食べ、理想の女性を手に入れて、夜は豪快に遊んでいた。その人がたまたま僕の憧れとなり、目標となりました。
僕はそういった人たちと何とか仲間になって情報を得たいと思い、当時東京で最も流行っていたディスコのVIP席で豪快に飲んでいる人たちに寄って行って、知り合いになりました。